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民主党と共和党、米国株が上がるのはどっち?|過去100年のデータと研究からわかること

「共和党は株高、民主党は株安」とよく言われますが、過去のデータを調べると、平均では民主党政権のほうが株価の上昇率が高い結果が多く出ています。ただし、その差は「たまたま」の可能性もあります。政党別の株価のデータと研究をもとに、何がわかっていて何がわかっていないのかを整理します。

公開 読了目安 約10分文:米株図鑑編集部

13.8%と8.9%S&P500の年率リターン(民主党政権と共和党政権)1945〜2023年(アリアンツ・グローバル・インベスターズ)
約990万ドル1900年の1万ドルを政権に関係なく持ち続けた場合片方の政権だけなら約18万〜53万ドル(インベスコ、ダウ平均)
7回1927〜1998年に大統領の政党が入れ替わった回数比べられる数が少なく、偶然の可能性も

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要点を6枚のスライドで。スライドだけでも全体がつかめます。

  1. 米株図鑑コラム

    民主党と共和党 米国株が上がるのは どっち?

    過去100年のデータと研究からわかること。

    1 / 6
  2. 平均では

    民主党政権のほうが 株価の上昇率が高い

    1945〜2023年のS&P500の年率リターン。

    2 / 6
  3. ただし

    「たまたま」の 可能性もある

    比べられる政権の数が少なく、測り方を変えると結論が逆になることもある。

    3 / 6
  4. 理由は

    政策より 「政権が始まる時期」 かもしれない

    景気が悪く投資家が不安なときに民主党が選ばれやすく、その後の回復で株価が上がる、という研究がある。

    4 / 6
  5. 投資家は

    政党で売り買い すると損をしやすい

    どちらか一方の政権の時期だけ投資するより、持ち続けたほうが結果は大きく上回った。

    5 / 6
  6. 大切なのは

    株価を動かすのは 企業の利益

    政権よりも、米株図鑑で会社の業績を確かめよう。

    スクリーニングで探す →
    6 / 6

はじめに

2026年11月3日に米国のの投票が行われ、選挙と株価の関係にあらためて注目が集まっています。

米国では、「共和党は減税や規制の緩和を進めるので株高になりやすい」「民主党は増税や規制の強化を進めるので株安になりやすい」とよく言われます。ところが過去の株価を調べると、この通説とは逆に、民主党政権のほうが株価の上昇率が高いという結果が多く出ています。

ただし、その差が本当に意味のあるものなのかについては、研究者の間でも慎重な見方が強いのが実情です。このコラムでは、データと研究をもとに、何がわかっていて何がわかっていないのかを整理します。

よく言われること共和党のほうが株高減税や規制の緩和で、企業の利益が増えやすいという考え方
過去のデータ平均では民主党のほうが高いただし差は「たまたま」の可能性があり、測り方で結論が変わることもある
第1章

データで見る政党別の株価

主な分析の結果

政党別のS&P500の年率リターン(1945〜2023年)選挙のあった11月から計算。「物価を除く」は物価上昇分を差し引いた実質の値
民主党政権13.8%
共和党政権8.9%
民主党政権(物価を除く)9.7%
共和党政権(物価を除く)5.1%

出典:アリアンツ・グローバル・インベスターズ(2024年)

分析した人・機関対象の期間・内容民主党政権共和党政権
アリアンツ・グローバル・インベスターズ(2024年)1945〜2023年、S&P500の年率リターン(選挙のあった11月から計算)13.8%8.9%
同上(物価上昇分を除いた場合)同上9.7%5.1%
サンフランシスコ連邦準備銀行(1998年)1871〜1997年、配当込みの年平均リターン11.7%10.5%
同上(第2次世界大戦後)1945〜1997年15.3%13.1%
三井住友DSアセットマネジメント(2019年)1897〜2017年の30任期、ダウ平均が4年間で上がった割合78.6%(14任期中11回)68.8%(16任期中11回)

この表の分析では、いずれも民主党政権のほうが高い結果になっています。ただし、サンフランシスコ連銀は、この差は「ではない」と結論づけています。株価は年によって大きく上下するため、政権の数が少ないと、偶然の差なのか本当の差なのかを見分けられないからです。

最近3つの政権のS&P500

最近3つの政権のS&P500の上昇率トランプ政権1期目と2期目は共和党、バイデン政権は民主党。就任の前の営業日の終値から計算し、配当は含まない。2期目は任期の途中(2026年11月3日時点)

単位:%

出典:米株図鑑の株価データをもとに計算(2017年1月19日、2021年1月19日、2025年1月17日、2026年11月3日の終値)

政権期間S&P500の上昇率1年あたりの平均
トランプ政権(1期目、共和党)2017年1月〜2021年1月約+68%約+13.8%
バイデン政権(民主党)2021年1月〜2025年1月約+58%約+12.1%
トランプ政権(2期目、共和党)2025年1月〜(2026年11月3日時点)約+26%―

最近の3つの政権では、どちらの政党でも株価は大きく上がっています。

第2章

大統領と議会の組み合わせで見る

米国では、大統領が法律や予算を自由に決められるわけではなく、議会の賛成が必要です。そこで、大統領の政党と議会の多数派の組み合わせで分けた分析もあります。

大統領と議会の組み合わせ別のS&P500の年率リターン(1945〜2023年)「ねじれ」は大統領の政党が議会の多数派ではない状態
民主党の大統領+ねじれ議会17.2%
共和党の大統領+共和党の議会16.8%
民主党の大統領+民主党の議会11.3%
共和党の大統領+ねじれ議会7.0%

出典:アリアンツ・グローバル・インベスターズ。物価上昇分を除くと、上位2つは12.9%(民主党の大統領+ねじれ)と14.6%(共和党の大統領+共和党の議会)で順位が入れ替わる(下位2つは公表なし)。

「民主党が強い」という単純な結果にはなっていません。名目のリターンでは「民主党の大統領+」が最も高い一方、物価上昇分を除いたでは「共和党の大統領+共和党の議会」が最も高くなります。

ねじれが好まれるという見方も

ねじれ議会では大統領が極端な政策を進めにくくなるため、市場に好まれるという見方があります。ただし、はっきりした証拠があるわけではありません。

第3章

測り方で結論が変わる

政党別の株価は、測り方を少し変えるだけで結論が入れ替わることがあります。

平均の取り方

米モトリーフールの分析(1957〜2024年、配当を除く)では、同じデータでも、どの「真ん中」を取るかで勝ち負けが入れ替わりました。

任期中の年平均成長率の中央値共和党が上民主党9.3%、共和党10.2%
1年ごとのリターンの中央値民主党が上民主党12.9%、共和党9.9%

大きな出来事の影響

サンフランシスコ連銀によると、政権ごとの年平均リターンが最も低かったのは、1929年の大暴落を含むフーバー政権、最も高かったのは、その後の回復期にあたるルーズベルト政権1期目でした。1つの政権の結果が、全体の平均を大きく動かします。

政権ごとの年平均リターン:最低と最高1871〜1997年の分析から
フーバー政権(共和党、大恐慌)−21.2%
ルーズベルト政権1期目(民主党、回復期)+33.5%

出典:サンフランシスコ連邦準備銀行(1998年)

物価の扱いと数え始め

  • 物価の扱い:第2章のように、物価上昇分を除くかどうかで順位が変わる
  • どこから数えるか:選挙の日から数えるか、就任の日から数えるか、どの年から分析を始めるかでも数字は変わる
第4章

なぜ民主党政権で高いのか:研究の説明

「大統領の謎」と呼ばれた研究

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のペドロ・サンタクララ氏とロッセン・ヴァルカノフ氏は2003年、金融の専門誌「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に「大統領の謎(The Presidential Puzzle)」という論文を発表しました。

民主党政権年約11%
共和党政権年約2%

1927〜1998年、株式が安全な短期国債を上回った分(上乗せの利回り)。約9ポイントの差がありました。

論文は、この差は景気の動きや株のリスクの違いでは説明できないとして、「謎」と呼びました。ただし、この期間に大統領の政党が入れ替わったのは7回だけで、筆者ら自身も偶然の可能性を認めています。

「投資家が不安なときに民主党が選ばれる」という説明

シカゴ大学のルボシュ・パストール氏とピエトロ・ヴェロネージ氏は2020年、この謎にひとつの答えを示しました。考え方は次のとおりです。

1不安な時期景気が悪く、人々が将来に不安を感じているときは、所得の再分配(豊かな人や企業から税を集め、社会保障などに回すこと)を重視する民主党が選ばれやすい
2株価は安いそのような時期は、投資家もリスクを恐れ、株価は安くなっている
3回復で上がるその後、不安が和らぐと株価が戻り、民主党政権の間の上昇率が高くなる

つまり、民主党の政策が株価を押し上げたのではなく、「株価が安い時期に政権が始まりやすい」という時期の違いで説明できる、という考え方です。たとえば1933年のルーズベルト政権は大恐慌のさなかに、2009年のオバマ政権は金融危機の直後に始まっています。

そのほかの見方

1

経済成長の違い

アリアンツ・グローバル・インベスターズは、民主党政権のほうが経済成長が強めだったことが株価を押し上げたと説明しています。一方で民主党政権は物価の上昇も大きく、これが物価上昇分を除くと「共和党の大統領+共和党の議会」が最も高くなる理由だとしています。偶然や大きな歴史的出来事の影響もあると断っています。

10回戦後12回の景気後退のうち、共和党政権の時期に始まった回数
2

米国以外では差がない

欧州など24か国、173の政権を調べた研究(2006年)では、左派政権と右派政権の間に、株価の意味のある差は見つかりませんでした。「民主党で高い」という傾向は、米国だけの現象かもしれません。

24か国173の政権を調べた結果
第5章

投資家はどう考えればよいか

政党で売り買いすると、結果は大きく悪くなる

米インベスコは、1900〜2023年のダウ平均で、1万ドルを投資した場合を試算しています。

1900年に1万ドルを投資した場合の2023年末の金額単位:ドル。ダウ平均。どちらか一方の政権だけでは、持ち続けた場合の約19分の1〜55分の1
政権に関係なく持ち続けた990万
民主党政権の時期だけ持った52.8万
共和党政権の時期だけ持った18.1万

出典:インベスコ

どちらか一方の政権だけに投資すると、持ち続けた場合の約19分の1(民主党政権のみ)、約55分の1(共和党政権のみ)にとどまりました。どちらの政党のときも、長い目で見れば株価は上がってきたためです。

インベスコによると、S&P500ができた1957年以降、政権全体で株価が下がったのは、金融危機に見舞われたブッシュ(子)政権(2001〜09年)と、物価高と不景気が重なったニクソン政権(1969〜74年)だけでした。

株価を動かすのは、政党より企業の利益と金利

大統領だけでは決められない大統領は、議会の賛成がなければ法律や予算を決められません。金利を決めるのも、政府から独立した中央銀行()です。
長い目で見れば企業の利益株価は長い目で見ると、企業の利益の伸びに沿って動きます。景気や金利、技術の変化など、政党以外の要因のほうが大きいといえます。

短期的には選挙で株価が動くこともある

ペンシルベニア大学のジェレミー・シーゲル教授の研究(1888〜1992年)では、大統領選挙の翌日のダウ平均は、次のように動きました。

民主党が勝ったとき平均 −0.75%大統領選挙の翌日のダウ平均
共和党が勝ったとき平均 +0.81%大統領選挙の翌日のダウ平均

選挙の直後は共和党の勝利が好感されやすいということですが、その後4年間の結果とは別です。また、政策の影響を受けやすい業種もあります。規制や税制、貿易政策が変わると、エネルギー、金融、医療、防衛など、業種ごとに勝ち負けが分かれることがあります。

よくある質問

Q. 民主党と共和党、どちらの政権で米国株は上がりやすいのですか?

1945〜2023年のS&P500では、平均すると民主党政権のほうが上昇率は高い結果でした(年率13.8%と8.9%)。ただし、比べられる政権の数が少なく、統計的に意味のある差とは言えません。測り方を変えると結論が逆になることもあります。

Q. 選挙の結果に合わせて株を売り買いしたほうがよいですか?

過去のデータでは、政党に合わせて売り買いすると結果が大きく悪くなりやすいことがわかっています。インベスコの試算では、どちらか一方の政権の時期だけ投資した場合、政権に関係なく持ち続けた場合の約19分の1〜55分の1にとどまりました。

Q. 中間選挙は株価に影響しますか?

議会の多数派が変わると、大統領と議会の組み合わせが変わり、政策の進めやすさも変わります。過去の分析では組み合わせによってリターンに差がありますが、物価上昇分を除くかどうかで順位が入れ替わるなど、はっきりした法則とは言えません。長い目で見ると、株価は企業の利益や金利の影響のほうが大きいといえます。

まとめ

  • 過去のデータでは、平均すると民主党政権のほうが株価の上昇率が高い結果が多く出ています(1945〜2023年のS&P500で年率13.8%と8.9%)。
  • ただし、その差は統計的には確かとは言えず、平均の取り方や物価の扱い、数え始めの時期で結論が変わります。
  • 民主党で高い理由は、政策よりも「景気が悪く株価が安い時期に民主党政権が始まりやすい」という時期の違いで説明できる、という研究があります。
  • 政党で売り買いすると長期の結果は大きく悪くなりやすく、株価を長い目で動かすのは企業の利益と金利です。

米株図鑑で確かめる:政権より業績を

「どちらの政党が勝つか」で売り買いを決めるより、会社の業績を確かめることが大切です。米株図鑑の各銘柄ページで、次の点を確かめましょう。

STEP 1売上と利益が伸びているか「財務」で売上と利益の推移を見ます。政権が変わっても、稼ぐ力のある会社は利益を伸ばし続けます。例:マイクロソフト →
STEP 2政策の影響を強く受ける事業か「セグメント」と「会社情報」で、どの事業・地域で稼いでいるかを見ます。規制や関税、政府との契約に大きく頼っている会社は、政策の変化を受けやすくなります。
STEP 3株価が業績に比べて高すぎないか「バリュエーション」でPERなどの推移を見ます。選挙で期待が高まって株価が上がった銘柄は、割高になっていないかを確かめます。投資指標の解説 →

用語集

中間選挙
4年ごとの大統領選挙の中間の年に行われる米国の選挙。下院の全議席と上院の約3分の1などが改選され、議会の多数派が変わることがある。
統計的に有意
見られた差が、偶然では説明しにくいほど大きいこと。データの数が少ないと、差があっても「偶然かもしれない」として有意とは言えないことが多い。
ねじれ議会
大統領の政党が、議会(上院・下院のどちらか、または両方)で多数派になっていない状態。大統領が進めたい法律や予算が通りにくくなる。
実質リターン
見た目の利回り(名目リターン)から、物価の上昇分を差し引いた利回り。お金で買えるものが実際にどれだけ増えたかを表す。
FRB
米国の中央銀行の中心となる機関。政策金利を決め、物価の安定と雇用の最大化をめざす。政府から独立している。

米国株・投資の用語集(95語)をすべて見る →

出典

  • 政党別・議会との組み合わせ別のリターン:アリアンツ・グローバル・インベスターズ(2024年6月)
  • 1871〜1997年の分析、政権ごとの最高・最低:サンフランシスコ連邦準備銀行(1998年)
  • 任期ごとの上昇確率:三井住友DSアセットマネジメント「市川レポート」(2019年11月)
  • 測り方による違い:モトリーフール(2024年7月)
  • 「大統領の謎」:Santa-Clara & Valkanov, "The Presidential Puzzle: Political Cycles and the Stock Market," Journal of Finance, 2003
  • リスクを恐れる気持ちによる説明:Pástor & Veronesi, "Political Cycles and Stock Returns," Journal of Political Economy, 2020(NBER)
  • 米国以外の分析:Bialkowski, Gottschalk & Wisniewski(2006年)
  • 選挙翌日の株価:ジェレミー・シーゲル教授の研究(1888〜1992年)
  • 1万ドルの試算、任期中の下落:インベスコ
  • 最近3つの政権のS&P500:米株図鑑の株価データをもとに計算(2017年1月19日、2021年1月19日、2025年1月17日、2026年11月3日の終値)

本コラムは、公的機関・研究者・運用会社の公開資料をもとに作成しています。特定の政党や候補者を支持するものではなく、特定の銘柄の売買を勧めるものでもありません。投資の判断は、最新の資料を確認のうえ、ご自身で行ってください。