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米国株の投資指標 完全版|PER・PBRからROE・FCF・業種別指標までやさしく解説

「この株は高いのか、安いのか」。株価の金額だけでは判断できません。PER・PBRから、稼ぐ力、成長性、お金の流れ、財務の安全性、株主還元、業種別の指標まで、米国株でよく使われる投資指標を1ページにまとめました。知りたい指標は「指標さくいん」ですぐに探せます。

公開 読了目安 約60分文:米株図鑑編集部

88指標計算式・目安・注意点を同じ形で解説9つのグループと業種別
18.7倍S&P500の予想PER過去10年の平均は19.1倍(FactSet、2026年10月30日)
9つ指標のグループ(割安・稼ぐ力・成長性・安全性など)業種別の指標も別にまとめて紹介

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要点を6枚のスライドで。スライドだけでも全体がつかめます。

  1. 米株図鑑コラム

    米国株の 投資指標 完全版

    PER・PBRからROE・FCF、業種別の指標まで。88の指標を1ページで。

    1 / 6
  2. 株価だけではわからない

    株価の金額だけでは 割安か割高かは わからない

    株価は1株の値段にすぎない。会社の利益や資産と比べて、はじめて高い・安いが判断できる。

    2 / 6
  3. PER

    PERは 「利益の何年分か」

    株価が1株あたりの利益の何倍か。高いほど、将来の成長への期待が大きいことが多い(利益が一時的に減って高くなることもある)。

    3 / 6
  4. PBR

    PBRは 「純資産の何倍か」

    ただし米国株では、自社株買いで純資産が小さくなり、PBRが極端に高い会社やマイナスの会社も多い。使い方に注意。

    4 / 6
  5. 組み合わせる

    1つの指標では 判断しない

    割安さだけでなく、稼ぐ力、成長性、お金の流れ、財務の安全性、株主還元など、種類の違う指標を組み合わせて見る。

    5 / 6
  6. 比べ方

    同じ業種や 過去の水準と比べる

    業種によって普通の水準は大きく違う。米株図鑑で、指標の推移や同業他社との比較を確かめよう。

    スクリーニングで試す →
    6 / 6

はじめに

「この株は高いのか、安いのか」。米国株を調べていると、PER、PBR、ROE、FCFなど、たくさんの投資指標に出会います。ただ、株価の金額だけを見ても、割安か割高かはわかりません。会社の利益や資産と比べて、はじめて判断できます。

この記事では、米国株でよく使われる投資指標を9つのグループと業種別の指標に分け、1ページにまとめました。それぞれの指標を「計算式/何がわかるか/目安/注意点」の同じ形で解説し、株価の割安さを見る主な指標には、米株図鑑のデータから出したS&P500採用銘柄の中央値も載せています。

このページの使い方

はじめての人は第1章から順に読んでください。知りたい指標が決まっている人は、すぐ下の「指標さくいん」で名前を入れて探すか、最後の「付録:指標の早見表」を使ってください。読み進めた後も、画面の右下の「指標をさがす」ボタンで、いつでもさくいんに戻れます。

指標さくいん

この記事で解説している88の指標です。名前を押すと、その指標の解説へ移動します。

第1章

投資指標とは何か

この章の指標と計算式

指標計算式
時価総額株価 × 発行済み株式数
発行済み株式数・希薄化後の株式数—
EPS純利益 ÷ 発行済み株式数
BPS純資産 ÷ 発行済み株式数
DPS配当の総額 ÷ 発行済み株式数
1株あたりFCFフリーキャッシュフロー ÷ 発行済み株式数
EV時価総額 + - 現金

株価だけでは高い・安いはわからない

株価は「1株の値段」にすぎません。株価が高いからといって、会社が割高とは限りません。たとえば、A社の株価が100ドル、B社が1,000ドルでも、A社がB社の10倍の株を発行していれば、会社全体の値段(時価総額)は同じです。

株価が10倍違っても、会社の値段は同じ

A社

株価100ドル
×
発行済み株式数10億株
=
時価総額1,000億ドル

B社

株価1,000ドル
×
発行済み株式数1億株
=
時価総額1,000億ドル

さらに、会社全体の値段が同じなら、毎年の利益が多い会社のほうがお得といえます。投資指標は、会社の値段を「利益」「資産」「売上」などと比べて、割安・割高や会社の力を測るものさしです。

まず覚える基本の用語

時価総額

マーケットキャップ ・ Market capitalization
基本
計算式株価 × 発行済み株式数
何がわかるか
株式市場でついている、会社全体の値段です。会社どうしの大きさは、株価ではなく時価総額で比べます。
目安
米国では、時価総額が約100億ドル以上を大型株、20億〜100億ドルを中型株、20億ドル未満を小型株と呼ぶことが多いです(区切り方は資料によって違います)。
注意点
株価が動けば毎日変わります。借金は含まれないため、会社を丸ごと買う値段はEV(企業価値)で見ます。
計算の例株価100ドル × 10億株 = 1,000億ドル

米株図鑑で見る銘柄ページの「概要」、銘柄一覧で時価総額の大きい順に並べられます

発行済み株式数・希薄化後の株式数

株数 ・ Shares outstanding / Diluted shares
基本
計算式—
何がわかるか
発行済み株式数は、今ある株の数です。希薄化後の株式数は、やなどで将来増える可能性のある株も含めた数です。
目安
1株あたりの数字(EPSなど)は、希薄化後の株式数で計算したものを使うと慎重です。
注意点
株式報酬の多いハイテク企業は、毎年株数が増えやすいです。をしていても、株数が減っていないことがあります(第11章)。

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」→「損益計算書」

EPS

1株あたり利益 ・ Earnings per share
基本
計算式純利益 ÷ 発行済み株式数
何がわかるか
1株が1年間に生んだ利益です。PERの計算のもとになります。
目安
決算では「基本」と「希薄化後」の2つが発表されます。比べるときは希薄化後でそろえます。
注意点
自社株買いで株数が減ると、純利益が同じでもEPSは増えます。一時的な利益や損失でもぶれます。

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」と「バリュエーション」(EPSと株価の関係)

BPS

1株あたり純資産 ・ Book value per share
基本
計算式純資産 ÷ 発行済み株式数
何がわかるか
1株あたりの、帳簿上の株主の取り分です。PBRのもとになります。
注意点
自社株買いを続ける米国企業では、小さくなったり、マイナスになったりすることがあります(第3章)。

DPS

1株あたり配当 ・ Dividends per share
基本
計算式配当の総額 ÷ 発行済み株式数
何がわかるか
1株を持っていると、1年に受け取れる配当です。配当利回りのもとになります。
目安
米国企業の多くは、年4回(四半期ごと)配当を払います。1年分の合計で見ます。
注意点
1回限りの特別配当を含めると、ふだんの実力より大きく見えます。

米株図鑑で見る銘柄ページの「配当・決算」

1株あたりFCF

Free cash flow per share
基本
計算式フリーキャッシュフロー ÷ 発行済み株式数
何がわかるか
1株あたり、会社が自由に使えるお金がどれだけ生まれたかです。
注意点
設備投資の多い年は小さくなります。数年の平均や推移で見ます。

EV

企業価値 ・ Enterprise value
基本
計算式時価総額 + 有利子負債 - 現金
何がわかるか
借金も含めて、会社を丸ごと買うときの値段です。買った人は借金も引き継ぎますが、会社の現金も手に入るため、借金を足して現金を引きます。
注意点
現金を多く持つ会社は、EVが時価総額より小さくなります。リースの支払い義務などを借金に含めるかは、資料によって違います。
計算の例時価総額100億ドル + 借金50億ドル - 現金10億ドル = 140億ドル
EV(企業価値)の考え方
時価総額100億ドル
+
借金50億ドル
-
現金10億ドル
=
EV140億ドル

借金50億ドルの会社を丸ごと買うと、借金も引き継ぐ。一方で、会社の現金10億ドルも手に入る。

指標のもとになる決算の3つの表

投資指標の多くは、会社が四半期(3か月)ごとに発表する決算の数字から計算します。もとになるのは、次の3つの表です。

損益計算書1年でどれだけもうけたか売上から費用を引いて、営業利益や純利益を出す表。PER、利益率、EPSなどのもと。
貸借対照表今、何をどれだけ持っているか資産、借金、純資産(株主の取り分)の表。PBR、ROE、自己資本比率などのもと。
キャッシュフロー計算書現金がどう動いたか本業、投資、資金のやり取りで、現金がどれだけ出入りしたかの表。FCFなどのもと。

数字の種類の違い

同じ「PER」でも、どの期間の数字を使うか、どのルールで計算した利益を使うかで、値が変わります。比べるときは、種類をそろえることが大切です。

期間の違い実績と予想実績は、すでに発表された直近12か月()や前の事業年度の数字。予想は、これから先の数字の見込みで、米国ではアナリスト予想の平均を使うのが一般的
計算ルールの違いGAAPと調整後は会計のルールどおりの数字。調整後(非GAAP)は、株式報酬や買収の費用などを会社が独自に除いた数字で、GAAPより良く見えやすい

指標の9つのグループ

この記事では、指標を「何がわかるか」で9つのグループに分けています。1つの指標だけで判断せず、種類の違う指標を組み合わせて見るのが基本です。

グループ主な指標解説
① 割安・割高PER、PBR、PSR、PEGレシオ、EV/EBITDA、FCF利回り、理論株価第2〜5章
② 稼ぐ力売上総利益率、営業利益率、ROE、ROA、ROIC第6章
③ 効率性総資産回転率、在庫回転日数、キャッシュ・コンバージョン・サイクル第7章
④ 成長性売上成長率、EPS成長率、年平均成長率(CAGR)、決算サプライズ第8章
⑤ お金の流れ営業キャッシュフロー、FCF、FCFマージン、株式報酬第9章
⑥ 財務の安全性自己資本比率、D/Eレシオ、純有利子負債/EBITDA、流動比率、信用格付け第10章
⑦ 株主還元配当利回り、配当性向、連続増配年数、総還元利回り第11章
⑧ 値動きと売買ベータ、変動率、最大下落率、空売り残高の比率第12章
⑨ 市場の評価アナリストの目標株価、機関投資家の保有、経営陣の売買第13章
第2章

割安・割高を見る指標①:PER(株価収益率)

この章の指標と計算式

指標計算式
PER株価 ÷ EPS(=時価総額 ÷ 純利益)
益回りEPS ÷ 株価(=1 ÷ PER)
シラーPER株価 ÷ 物価上昇分を調整した過去10年のEPSの平均

PER・益回り・シラーPER

PER

株価収益率 ・ Price-to-earnings ratio(P/E)
割安・割高
計算式株価 ÷ EPS(=時価総額 ÷ 純利益)
何がわかるか
今の利益が続くとして、会社の値段が利益の何年分にあたるかを示します。高いほど、将来の利益の伸びへの期待が大きいことが多いといえます(利益が一時的に減って高くなる場合もあります)。
目安
「何倍なら割安」という決まった基準はありません。市場全体、同じ業種、その会社の過去の水準と比べます。S&P500全体の予想PERは18.7倍で、過去5年の平均19.8倍、過去10年の平均19.1倍をやや下回っています(2026年10月30日時点)。
注意点
赤字の会社は使えません(第4章のPSRなどを使います)。一時的な利益や損失でぶれます。景気に左右される業種(自動車、鉄鋼、半導体など)は、利益が最も多い時期にPERが低く見え、割安に見えやすい点に注意します。
計算の例株価100ドル ÷ EPS5ドル = PER20倍(利益の20年分)

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の実績PERの中央値 23.8倍(真ん中の半数は 17.1倍〜34.8倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「バリュエーション」で過去の推移、スクリーニングで条件を指定して探せます

益回り

Earnings yield
割安・割高
計算式EPS ÷ 株価(=1 ÷ PER)
何がわかるか
PERをひっくり返したもので、株価に対して1年でどれだけの利益を生んでいるかを%で表します。%なので、米国債の利回りと比べやすくなります。
目安
PER20倍なら5%、PER25倍なら4%です。
注意点
利益は配当と違い、全部が株主に支払われるわけではありません。
計算の例益回り5%、米国債の利回り4.5%なら、値下がりのリスクがある株を持つ上乗せ分は0.5ポイントと小さい

シラーPER

CAPEレシオ ・ Cyclically adjusted P/E(CAPE)
割安・割高
計算式株価 ÷ 物価上昇分を調整した過去10年のEPSの平均
何がわかるか
1年の利益は景気で大きくぶれるため、普通のPERは景気が良いときに低く、悪いときに高く見えやすくなります。シラーPERは、10年の平均利益でこのぶれをならしたものです。主にS&P500など市場全体に使い、今の株式市場が過熱していないかを見ます。
目安
ノーベル経済学賞を受けたロバート・シラー氏が広めました。過去の平均と比べて、高いか低いかを見ます。
注意点
高くても、株価がいつ下がるかを示すものではありません。

実績PERと予想PER

実績PERは、すでに発表された過去12か月の利益で計算します。数字は確定していますが、これからの伸びは反映されません。予想PERは、今後12か月の利益の予想で計算します。将来を反映できますが、予想が外れることもあります。なお米国では、会社が利益の予想を出さないことも多く、予想PERにはアナリスト予想の平均を使うのが一般的です。

同じ株価でも、使う利益でPERが変わる

実績PER

株価100ドル
÷
過去12か月のEPS4ドル
=
実績PER25倍

予想PER

株価100ドル
÷
今後12か月の予想EPS5ドル
=
予想PER20倍

利益が伸びている会社ほど、予想PERは実績PERより低くなる。

GAAPのPERと調整後のPER

米国企業の決算では、会計のルール(GAAP)どおりに計算した利益と、会社が一部の費用を独自に除いた「調整後の利益」の2つが発表されることが多くあります。調整後の利益は、株式報酬や買収に伴う費用、リストラの費用などを除くため、GAAPの利益より大きくなりやすい点に注意が必要です。

同じ会社でも、割安にも割高にも見える

GAAPの利益で計算

株価100ドル
÷
GAAPのEPS4ドル
=
PER25倍

調整後の利益で計算

株価100ドル
÷
調整後のEPS5ドル
=
PER20倍

比べるときは、どちらかにそろえる。

業種ごとのPER

PERの普通の水準は、業種によって大きく違います。下のグラフは、米株図鑑のデータから、S&P500採用銘柄の実績PERの中央値をセクターごとに出したものです(毎日のデータ更新に合わせて変わります)。

セクターごとの実績PER(中央値)点線はS&P500全体の中央値(23.8倍)
金融14.3倍
エネルギー15.0倍
コミュニケーション・サービス18.2倍
一般消費財・サービス20.6倍
公益事業21.8倍
生活必需品24.1倍
素材26.3倍
資本財・サービス28.3倍
情報技術29.3倍
ヘルスケア30.3倍
不動産32.1倍

S&P500採用銘柄のうち、利益が黒字の会社。不動産(REIT)は建物の減価償却費で利益が小さく出るため、PERが高く見えやすい(第14章)(米株図鑑のデータ、11月6日時点)

S&P500の予想PER18.7倍
過去5年の平均19.8倍
過去10年の平均19.1倍

FactSet(2026年10月30日時点)。今後12か月の予想利益で計算。上のグラフの実績PERとは計算に使う利益が違います。

金融やエネルギーは、もともとPERが低い業種です。PERが低いからといって割安とは限りません。たとえば、PER15倍の銀行株は業種ではごく普通の水準ですが、PER15倍のソフトウェア株は業種の中では低めといえます。個別の銘柄は、まず同じ業種の水準と比べましょう。

PERが高い会社・低い会社

PERが高い会社PERが低い会社
どんな会社かこれから利益が大きく伸びると期待されている成長企業利益の伸びが小さい、または利益が安定している成熟した企業
市場の見方将来の利益の伸びを先取りして、今の利益の割に高い株価がついている成長が見込めない、またはこれから利益が減るかもしれないと見られている
多い業種ソフトウェア、ネット、成長中の新興企業など銀行、エネルギー、自動車、たばこなど
期待以外の理由利益が一時的に落ち込んだため、PERだけが高く見えていることもある景気に左右される業種で、利益が一時的に膨らんでいることもある
注意点成長が期待を下回ると、利益が伸びていてもPERが下がり、株価が大きく下がりやすい利益が減り続ければ、安いまま上がらないこともある(バリュートラップ)
ポイント

PERが高いか低いかは「良い会社か悪い会社か」ではなく、「利益の伸びがどれだけ期待されているか」を表しています。

株価は「EPS × PER」

株価は「EPS × PER」で表せます。つまり株価が上がるのは、利益(EPS)が増えるか、PERが上がる(期待が高まる)かのどちらかです。

利益が20%伸びても、株価が上がらないことがある

今

EPS5ドル
×
PER30倍
=
株価150ドル

1年後

EPS6ドル20%増
×
PER25倍期待が落ち着く
=
株価150ドル

PERが高い会社は、利益の伸びへの期待がすでに株価に入っている。

実践での使い方

1

その会社の過去のPERと比べる

過去5〜10年のPERの範囲と比べ、今が高い側か低い側かを見ます。いつもは20〜30倍で評価されている会社が今18倍なら、普段より安く評価されています。ただし、業績が悪くなったせいか、市場全体が下がったせいか、安い理由も確かめます。

2

同じ業種の会社と比べる

業種によって普通のPERの水準が違います。ソフトウェアの会社はソフトウェアの会社と、銀行は銀行と比べます。

3

実績PERと予想PERの差から、利益の伸びの予想を読む

実績PERが25倍、予想PERが20倍なら、今後12か月の利益は過去12か月より約25%増える予想になっています(25÷20=1.25)。差が大きいほど、利益が大きく伸びると見込まれています。

4

PERが高い会社は、成長が続くかを確かめる

PER40倍の会社は、利益が今のままなら、会社の値段の分を稼ぐのに40年かかる計算です。高いPERが納得できるのは、利益が速いペースで伸び続ける場合だけです。売上と利益の伸びが続いているかを、決算のたびに確かめます。

第3章

割安・割高を見る指標②:PBR(株価純資産倍率)

この章の指標と計算式

指標計算式
PBR株価 ÷ BPS(=時価総額 ÷ 純資産)
有形純資産倍率時価総額 ÷(純資産 - などの無形資産)

PBR・有形純資産倍率

PBR

株価純資産倍率 ・ Price-to-book ratio(P/B)
割安・割高
計算式株価 ÷ BPS(=時価総額 ÷ 純資産)
何がわかるか
会社の値段が、帳簿上の株主の取り分(純資産)の何倍かを示します。純資産は、会社の資産から借金などを引いた残りです。PBR1倍なら、会社の値段と帳簿上の株主の取り分が同じです。
目安
銀行や保険など、資産の多くがお金に近い業種で役立ちます。稼ぐ力(ROE)と一緒に見ます。
注意点
米国では、自社株買いで純資産が小さくなり、PBRが極端に高い、またはマイナスになる会社が多くあります。ソフトウェアやブランドのように、帳簿に載らない価値も反映されません。
計算の例時価総額300億ドル ÷ 純資産100億ドル = PBR3倍

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 3.7倍(真ん中の半数は 2.2倍〜7.7倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「バリュエーション」で過去の推移、スクリーニングで条件を指定して探せます

有形純資産倍率

PTBV ・ Price to tangible book value(P/TBV)
割安・割高
計算式時価総額 ÷(純資産 - のれんなどの無形資産)
何がわかるか
買収で生じたのれんなど、売ってもお金になりにくい資産を除いた純資産と比べます。
目安
銀行の評価でよく使われます。
注意点
無形資産の多い会社では、有形の純資産がマイナスになり、使えないことがあります。

米国株でPBRが使いにくい理由

自社株買いは、会社が自分のお金で株主から株を買い戻すことです。支払ったお金は、その分だけ純資産(株主の取り分)から差し引かれます。稼いだ利益より多く買い戻したり、借金をして買い戻したりすると、純資産がマイナスになることがあります。

自社株買いで純資産がマイナスになる仕組み(例)
今の純資産100億ドル
+
1年の利益20億ドル
-
自社株買い150億ドル
=
1年後の純資産−30億ドル

会社の稼ぐ力が落ちたわけではない。株主にお金を多く返した結果。

純資産がマイナスの有名企業単位:億ドル。いずれも自社株買いを長く続けてきた会社
マクドナルド(2026年6月末)約−10
オートゾーン(2026年8月末)約−25
ロウズ(2026年7月末)約−74

出典:各社の四半期報告書の貸借対照表。純資産がマイナスだと、PBRもマイナスになり使えない。

また、ソフトウェアやブランド、技術など、目に見えない価値は帳簿に載りにくいため、こうした強みで稼ぐ会社ではPBRが高く出ます。

PBRが役立つ業種

PBRが役立つのは、銀行や保険です。理由は3つあります。1つ目は、資産の多くが貸し付けや債券などお金そのものに近く、帳簿の金額が実際の価値に近いこと。2つ目は、その資産を使って稼ぐ商売なので、純資産の大きさがそのまま稼ぐ力の土台になること。3つ目は、損失に備えて一定の資本を持つことが規制で求められているため、自社株買いで純資産が極端に小さくなることが少ないことです。なお、PBRはPERとROEをかけたものと同じになります(PBR=PER×ROE、第15章)。

PBRが高い会社・低い会社

PBRが高い会社PBRが低い会社
どんな会社か少ない資産で大きく稼ぐ会社。ソフトウェア、ブランド、技術など帳簿に載らない強みで稼ぐ工場や設備、貸し付けなど多くの資産を持ち、その資産で稼ぐ会社
市場の見方稼ぐ力(ROE)が高く、今後も成長すると期待されている稼ぐ力が低い、成長が見込めない、または資産に帳簿ほどの価値がないと見られている
多い業種ソフトウェア、ネット、ブランド力のある消費財など銀行、保険、エネルギー、鉄鋼など
ほかに考えられる理由自社株買いを続けて純資産が小さくなり、PBRが極端に高く見える業績が悪化して株価が下がり、PBRが下がっている
注意点期待が大きい分、成長が鈍ると株価が大きく下がりやすい本当に割安な場合もあるが、安いまま上がらないことも多い
ポイント

PBRが高いか低いかは「良い会社か悪い会社か」ではなく、「資産で稼ぐ会社か、資産以外の強みで稼ぐ会社か」と「どれだけ期待されているか」を表しています。

実践での使い方

1

PBR1倍割れは、安い理由を確かめる

PBR1倍未満は、帳簿上の株主の取り分より安く会社が買える状態です。ただし「帳簿の資産に実際はそこまでの価値がない」「利益がほとんど出ていない」と市場が見ていることが多いです。ROEの低さや、貸し倒れなど資産の健全さを確かめます。

2

その会社の過去のPBRと比べる

銀行などは、過去5〜10年のPBRの範囲と比べて、今が高い側か低い側かを見ます。景気が悪かった時期のPBRは、株価がどこまで下がりうるかの目安にもなります。

3

PBRが極端に高い、またはマイナスの会社は、理由を分けて考える

稼いだお金で自社株買いを続けた結果なら、PBRは役に立たないので、PERやFCF利回りで判断します。一方、赤字が続いて純資産がマイナスになった会社は、財務が危ないサインです。どちらかは、自社株買いの額と利益の推移を見れば見分けられます。

4

買収の多い会社は、有形純資産倍率も見る

買収で生じたのれんは、売ればお金になる資産ではありません。のれんを除いた純資産で計算すると、実質的な割安さがわかります。

5

銀行や保険は、PBRとROEをセットで見る

A銀行とB銀行がどちらもROE15%で、PBRがA銀行1.5倍、B銀行1.0倍なら、同じ稼ぐ力をB銀行のほうが安く買えます。反対に、ROEが低い会社はPBRが低くても当然で、割安とは限りません。

第4章

割安・割高を見る指標③:PERやPBRを補う指標

この章の指標と計算式

指標計算式
PSR時価総額 ÷ 売上高
PEGレシオPER ÷ EPSの年成長率(%の数字)
EV/EBITDAEV ÷ EBITDA(EBITDAは、おおむね営業利益 + )
EV/EBITEV ÷ EBIT(おおむね営業利益)
EV/売上EV ÷ 売上高
株価キャッシュフロー倍率時価総額 ÷ 営業キャッシュフロー
P/FCF時価総額 ÷ フリーキャッシュフロー
FCF利回りフリーキャッシュフロー ÷ 時価総額(=1 ÷ P/FCF)

売上・成長・借金を考えに入れる指標

PSR

株価売上高倍率 ・ Price-to-sales ratio(P/S)
割安・割高
計算式時価総額 ÷ 売上高
何がわかるか
会社の値段が、1年の売上の何倍かを示します。赤字でも計算できるので、赤字の成長企業でよく使います。
目安
業種で大きく違います。利益率の高いソフトウェアは高く、利益率の低い小売は低くなります。
注意点
売上が多くても、利益が出るとは限りません。売上総利益率と一緒に見ます。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 3.2倍(真ん中の半数は 1.7倍〜5.9倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「バリュエーション」で過去の推移、スクリーニングで条件を指定して探せます

PEGレシオ

PEG ratio
割安・割高
計算式PER ÷ EPSの年成長率(%の数字)
何がわかるか
成長の速さを考えに入れたPERです。同じPER30倍でも、利益が年30%伸びる会社と5%の会社では意味がまったく違います。
目安
1倍前後がひとつの目安とされ、1倍より低いと成長の割に割安と考えられます。
注意点
成長率は予想で、外れることもあります。利益が伸びていない会社や減っている会社では使えません。サイトによって、使う成長率(過去の実績か予想か)が違います。
計算の例PER30倍 ÷ 成長率30 = PEG1倍

EV/EBITDA

EV / EBITDA
割安・割高
計算式EV ÷ EBITDA(EBITDAは、おおむね営業利益 + 減価償却費)
何がわかるか
借金も含めた会社の値段(EV)が、本業で稼ぐ現金に近い利益(EBITDA)の何年分かを示します。EBITDAは「利息、税金、減価償却費を差し引く前の利益」です。借金の多い会社や、国や会計のルールが違う会社を比べるときに使います。
目安
会社の買収の値段を考えるときにもよく使われます。
注意点
EBITDAは、設備の買い替えにかかる費用を含まないため、工場や通信網など設備の多い会社は実際より良く見えやすくなります。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 15.0倍(真ん中の半数は 11.0倍〜20.5倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「バリュエーション」で過去の推移、スクリーニングで条件を指定して探せます

EV/EBIT

EV / EBIT
割安・割高
計算式EV ÷ EBIT(おおむね営業利益)
何がわかるか
EV/EBITDAと似ていますが、減価償却費を引いた後の利益で比べます。
目安
設備の買い替えにお金がかかる会社では、EV/EBITDAより実態に近くなります。
注意点
一時的な費用で営業利益がぶれると、数字も大きく動きます。

EV/売上

EV / Sales
割安・割高
計算式EV ÷ 売上高
何がわかるか
PSRの、借金も含めた版です。借金の多い会社と少ない会社を、売上で比べるときに使います。
注意点
利益が出ているかどうかはわかりません。
借金の多い会社は、PERだけでは安く見える

借金のない会社

時価総額100億ドル
+
借金0ドル
=
EV100億ドル

借金の多い会社

時価総額100億ドル
+
借金50億ドル
=
EV150億ドル

時価総額が同じでも、借金の多い会社を丸ごと買うには実質150億ドルが必要(現金はどちらも0とする)。

お金の流れで見る指標

株価キャッシュフロー倍率

PCFR ・ Price to cash flow(P/CF)
割安・割高
計算式時価総額 ÷ 営業キャッシュフロー
何がわかるか
利益の代わりに、本業で実際に入ってきた現金と比べます。会計の調整で数字が動きにくいのが特徴です。
注意点
設備投資は引かれていません。

P/FCF

株価FCF倍率 ・ Price to free cash flow
割安・割高
計算式時価総額 ÷ フリーキャッシュフロー
何がわかるか
会社の値段が、自由に使えるお金(FCF)の何年分かを示します。
注意点
FCFは、設備投資の多い年に小さくなります。株式報酬の多い会社は、FCFが大きく見えます(第9章)。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 21.5倍(真ん中の半数は 14.1倍〜31.3倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「バリュエーション」で過去の推移、スクリーニングで条件を指定して探せます

FCF利回り

Free cash flow yield
割安・割高
計算式フリーキャッシュフロー ÷ 時価総額(=1 ÷ P/FCF)
何がわかるか
会社の値段に対して、1年で自由に使えるお金がどれだけ生まれているかを%で表します。配当利回りと同じ感覚で見られます。
目安
米国債の利回りと比べます。
注意点
1年だけで判断せず、数年の推移を見ます。
計算の例FCF利回り6%、米国債10年物の利回り4.5%なら、上乗せは1.5ポイント

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 4.3%(真ん中の半数は 2.7%〜6.9%)11月6日時点・計算できない会社は除く

成長の速さが違う会社は、PEGレシオで比べる

PER30倍で利益が年30%伸びるA社はPEG1倍(30÷30)、PER15倍で利益が年5%伸びるB社はPEG3倍(15÷5)です。PERだけを見るとB社が半分の値段で安く見えますが、PEGでは成長の速さの割にA社のほうが安くなります。株価が変わらず予想どおりに成長した場合、5年後の利益で計算したPERは、A社が約8倍、B社が約12倍になり、順番が逆転します。

今のPERと、5年後の利益で計算したPER株価が変わらず、予想どおりに利益が伸びた場合
A社(年30%成長)今30倍
A社 5年後の利益で計算約8倍
B社(年5%成長)今15倍
B社 5年後の利益で計算約12倍

A社:30 ÷ 1.30の5乗 ≒ 8.1、B社:15 ÷ 1.05の5乗 ≒ 11.8。ただし成長率は予想で外れることもあり、年30%のような高い成長が何年も続く会社は多くない。

実践での使い方

1

赤字の会社は、PSRと売上の伸びをセットで見る

赤字ではPERが使えないため、売上と比べます。PSRが同じ10倍でも、売上が年40%伸びる会社は、年10%の会社より早く割安になっていきます。売上総利益率が高い会社ほど、将来に利益が出やすいといえます。

2

借金の多い会社は、EV/EBITDAで比べる

PERは借金を考えないため、借金の多い会社が安く見えやすくなります。借金も含めたEVで比べると公平です。

3

設備にお金がかかる会社は、EV/EBITやFCF利回りも見る

EBITDAは設備の買い替えの費用を含まないため、工場や通信網などが必要な会社では、実際より良く見えやすくなります。

4

FCF利回りを米国債の利回りと比べる

上乗せが小さいときは、FCFがこれから伸びる見込みがあるかを確かめます。

第5章

理論株価の考え方

この章の指標と計算式

指標計算式
理論株価(DCF法)(将来のFCFを今の価値に直した合計 + 現金 - 有利子負債)÷ 発行済み株式数
配当割引モデル来年の1株あたり配当 ÷(割引率 - 配当の成長率)
逆算DCF今の株価になるような、将来の成長率を逆に求める

倍率と理論株価の違い

PERなどの倍率は、「ほかの会社や過去と比べて」安いかを見る方法です。理論株価は、「その会社が将来稼ぐお金から考えて、今いくらの価値があるか」を計算する方法です。

将来のお金は割り引いて考える

今の100ドルと1年後の100ドルでは、今の100ドルのほうが価値が高くなります。今あれば運用して増やせるためです。将来のお金を今の価値に直すことを「割り引く」といい、そのときに使う利回りを「割引率」といいます。1年後の100ドルの今の価値は、100 ÷(1 + 割引率)で計算します。

将来受け取る100ドルの、今の価値割引率を年8%とした場合。遠い将来のお金ほど、今の価値は小さくなる

単位:ドル

計算:100 ÷ 1.08の(年数)乗。

理論株価の3つの計算方法

理論株価(DCF法)

割引キャッシュフロー法 ・ Discounted cash flow(DCF)
割安・割高
計算式(将来のFCFを今の価値に直した合計 + 現金 - 有利子負債)÷ 発行済み株式数
何がわかるか
将来稼ぐFCFを予想し、それぞれを今の価値に割り引いて合計します。そこに現金を足し、借金を引いて株数で割ると、1株の理論株価になります。
目安
楽観・普通・悲観の3つの前提で計算し、幅を持って見ます。
注意点
成長率や割引率をわずかに変えるだけで、結果が大きく変わります。理論株価は「正解」ではなく、「ひとつの目安」と考えます。

配当割引モデル

Dividend discount model(DDM)
割安・割高
計算式来年の1株あたり配当 ÷(割引率 - 配当の成長率)
何がわかるか
将来受け取る配当を、今の価値に割り引いて合計します(配当が一定の率で伸び続ける場合の式)。
目安
公益企業や生活必需品の会社など、配当が安定して伸びる会社に向いています。
注意点
配当の成長率を割引率に近づけると、割り算の分母がゼロに近づき、理論株価が極端に高くなります。
計算の例来年の配当3ドル ÷(割引率8% - 成長率5%)= 3 ÷ 0.03 = 100ドル

逆算DCF

Reverse DCF
割安・割高
計算式今の株価になるような、将来の成長率を逆に求める
何がわかるか
DCFの計算を逆にたどり、今の株価が「将来どれくらいの成長」を前提にしているかを出します。期待が高すぎないかを確かめられます。
目安
前提になっている成長率を、過去の実績と比べます。
注意点
割引率の置き方で結果が変わります。
計算の例今の株価が「FCFが年25%で10年伸び続ける」前提で、過去5年の実績が年15%なら、期待が高すぎる可能性がある
3つの前提で計算した理論株価(例)点線は今の株価(90ドル)
悲観の前提80ドル
普通の前提120ドル
楽観の前提160ドル

今の株価が90ドルなら、市場は悲観に近い見方をしていると読める。1つの数字だけで判断しない。

実践での使い方

1

逆算DCFで、株価に入っている期待を確かめる

「今の株価は、FCFが年何%伸び続ける前提か」を出し、過去の実績と比べます。

2

3つの前提で計算し、幅を持って見る

楽観・普通・悲観の3つで計算し、今の株価がどの前提に近いかを見ます。

3

割引率は「自分が求める利回り」と考える

割引率を高くするほど、理論株価は下がります。値動きの大きい小型株や赤字の会社は、割引率を高めにして慎重に計算します。

4

配当割引モデルは、配当が安定した会社に使う

配当の成長率を高く置きすぎないようにします。

第6章

稼ぐ力を見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
売上総利益率(売上高 - 売上原価)÷ 売上高
営業利益率営業利益 ÷ 売上高
純利益率純利益 ÷ 売上高
EBITDAマージンEBITDA ÷ 売上高
研究開発費の比率研究開発費 ÷ 売上高
ROE純利益 ÷ 純資産
ROA純利益 ÷ 総資産
ROIC税引き後の営業利益 ÷(純資産 + 有利子負債)
資本コスト(WACC)株主が求める利回りと借金の金利を、それぞれの金額の割合で平均したもの

利益率

売上から、作る費用、人件費や広告費、税金や利息を順に引いていくと、手元に残る利益はだんだん小さくなります。どの段階でどれだけ残るかを見るのが利益率です。

売上100ドルが利益になるまで(例)どの段階の利益かで、利益率の意味が変わる
売上高100ドル
売上総利益(粗利)60ドル
営業利益(本業のもうけ)25ドル
純利益(最終的なもうけ)20ドル

この例では、売上総利益率60%、営業利益率25%、純利益率20%。

売上総利益率

粗利率・粗利益率 ・ Gross margin
稼ぐ力
計算式(売上高 - 売上原価)÷ 売上高
何がわかるか
売上から、作る・仕入れる費用(売上原価)を引いた残りの割合です。製品やサービスそのものの強さや、値上げできる力がわかります。
目安
ソフトウェアは高く(70〜80%台も多い)、小売は低い(20〜30%台)など、業種で水準が大きく違います。
注意点
業種の違う会社をそのまま比べません。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 46.0%(真ん中の半数は 32.0%〜63.8%)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」→「指標・比率」

営業利益率

Operating margin
稼ぐ力
計算式営業利益 ÷ 売上高
何がわかるか
売上総利益から、さらに人件費や広告費、研究開発費などを引いた「本業のもうけ」の割合です。
目安
同じ業種の中で比べ、推移が上向きかを見ます。
注意点
一時的なリストラの費用などで、1年だけ大きく下がることがあります。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 18.6%(真ん中の半数は 11.4%〜27.2%)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」→「指標・比率」

純利益率

Net margin
稼ぐ力
計算式純利益 ÷ 売上高
何がわかるか
税金や利息なども引いた、最終的なもうけの割合です。
注意点
資産の売却益など、一時的な利益で大きくなることがあります。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 13.1%(真ん中の半数は 7.6%〜20.7%)11月6日時点・計算できない会社は除く

EBITDAマージン

EBITDA margin
稼ぐ力
計算式EBITDA ÷ 売上高
何がわかるか
EBITDA(利息、税金、減価償却費を引く前の利益)が、売上の何%かです。通信や設備の多い会社どうしを比べるときに使います。
注意点
設備の買い替えの費用を含まないため、実際のもうけより大きく見えます。

研究開発費の比率

R&D to sales
稼ぐ力
計算式研究開発費 ÷ 売上高
何がわかるか
売上のうち、どれだけを将来の製品や技術の開発に使っているかです。
目安
ハイテクや製薬では、売上の15〜20%以上を使う会社も多くあります。
注意点
研究開発費が多いと今の利益は小さく見えますが、将来の成長の種になります。その後の売上の伸びと合わせて見ます。

ROE・ROA・ROIC

ROE

自己資本利益率 ・ Return on equity
稼ぐ力
計算式純利益 ÷ 純資産
何がわかるか
株主が出したお金(純資産)で、1年にどれだけ利益を上げたかです。高いほど、株主のお金で効率よく稼いでいます。
目安
同じ業種の中で比べます。ウォーレン・バフェット氏は、高いROEが長く続く会社を好むことで知られています。
注意点
借金が多い会社や、自社株買いで純資産が小さい会社でも高くなります。純資産がマイナスの会社では使えません。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 15.5%(真ん中の半数は 8.6%〜29.7%)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」→「指標・比率」、バフェット流チェック

ROA

総資産利益率 ・ Return on assets
稼ぐ力
計算式純利益 ÷ 総資産
何がわかるか
借金も含めた会社のすべての資産で、どれだけ利益を上げたかです。借金の多さの影響を受けにくい指標です。
目安
銀行は資産が大きいため、ROA1%前後でも十分とされることが多いです。
注意点
業種によって必要な資産の量が違うため、同じ業種で比べます。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 6.2%(真ん中の半数は 2.9%〜10.8%)11月6日時点・計算できない会社は除く

ROIC

投下資本利益率 ・ Return on invested capital
稼ぐ力
計算式税引き後の営業利益 ÷(純資産 + 有利子負債)
何がわかるか
本業に投じたお金(株主のお金と借金)で、どれだけ稼いだかです。現金を引いて計算することもあります。競争に強い会社を見分けるのに使われます。
目安
資本コスト(下)を長年上回り続けているかを見ます。
注意点
計算の仕方が資料によって違います。比べるときは同じ資料の数字を使います。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 8.9%(真ん中の半数は 4.9%〜15.9%)11月6日時点・計算できない会社は除く

資本コスト(WACC)

加重平均資本コスト ・ Weighted average cost of capital
稼ぐ力
計算式株主が求める利回りと借金の金利を、それぞれの金額の割合で平均したもの
何がわかるか
株主とお金の貸し手が、会社に求める平均的な利回りです。ROICがこれを上回っていれば、会社は投資したお金以上の価値を生んでいます。
注意点
株主が求める利回りは目に見えないため、計算する人によって数字が違います。

ROEが高い理由を分ける(デュポン分析)

同じROE30%でも、利益率が高いからなのか、借金が多いからなのかで意味がまったく違います。ROEを3つに分けると、高い理由がわかります。これをデュポン分析といいます。

同じROE30%でも、中身が違う

A社:利益率が高い

純利益率30%
×
総資産回転率1.0回
×
総資産 ÷ 純資産1.0倍借金なし
=
ROE30%

B社:借金が多い

純利益率10%
×
総資産回転率1.0回
×
総資産 ÷ 純資産3.0倍借金が多い
=
ROE30%

借金で高くなったROEは、景気が悪くなると崩れやすい。

実践での使い方

1

利益率は推移で見る

1年だけでなく、5年ほどの流れを見ます。営業利益率が5年で15%から25%に上がっていれば、値上げの力や、会社が大きくなるほど効率が上がる効果が働いています。下がり続けているなら、競争が激しくなっている可能性があります。

2

同じ業種の会社と利益率を比べる

同じ業種の中で利益率が高い会社は、ブランドや技術などの強みを持っていることが多いです。

3

ROEが高い理由を分けて見る

デュポン分析で、利益率・資産の回転・借金のどれで高くなっているかを確かめます。

4

ROICで「稼いだお金を上手に増やせる会社か」を見る

ROICが資本コストを長年上回り続ける会社は、稼いだお金を事業に再投資するほど価値が増えていきます。まねされにくい強み()を持っている可能性があります。

第7章

効率性を見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
総資産回転率売上高 ÷ 総資産
在庫回転日数在庫 ÷ 売上原価 × 365
売上債権回転日数売掛金 ÷ 売上高 × 365
仕入債務回転日数買掛金 ÷ 売上原価 × 365
キャッシュ・コンバージョン・サイクル在庫回転日数 + 売上債権回転日数 - 仕入債務回転日数

回転率と回転日数

総資産回転率

Asset turnover
効率性
計算式売上高 ÷ 総資産
何がわかるか
持っている資産の何倍の売上を作ったかです。高いほど、資産を無駄なく使っています。
目安
スーパーなどの小売は高く、電力会社や通信会社など設備の多い業種は低くなります。
注意点
業種によって水準がまったく違います。

在庫回転日数

Days inventory outstanding(DIO)
効率性
計算式在庫 ÷ 売上原価 × 365
何がわかるか
在庫が売れるまでに、平均で何日かかるかです。
目安
同じ会社の過去と比べて、長くなっていないかを見ます。
注意点
長くなると、売れ残りや値下げのサインのことがあります。

売上債権回転日数

Days sales outstanding(DSO)
効率性
計算式売掛金 ÷ 売上高 × 365
何がわかるか
商品を売ってから、代金を受け取るまでの平均日数です。長いほど、お金が入るのが遅いことを示します。
注意点
急に長くなったら、代金の回収が遅れているか、支払いを待つ約束で無理に売上を作っている可能性があります。

仕入債務回転日数

Days payables outstanding(DPO)
効率性
計算式買掛金 ÷ 売上原価 × 365
何がわかるか
仕入れてから、代金を支払うまでの平均日数です。長いほど、支払いを後に回せています。
注意点
長すぎる場合は、資金繰りが苦しく支払いを遅らせている可能性もあります。

お金の回りの速さ(CCC)

キャッシュ・コンバージョン・サイクル

CCC ・ Cash conversion cycle
効率性
計算式在庫回転日数 + 売上債権回転日数 - 仕入債務回転日数
何がわかるか
仕入れ先にお金を払ってから、お客から代金を回収するまでの日数です。短いほど、お金の回りが速いことを示します。
目安
マイナスの会社は、仕入れ先への支払いより先にお客から代金を受け取れる、強い立場にあります。
注意点
業種によって水準が違います。同じ業種で比べます。
CCCの計算(例)

製造業の会社

在庫回転日数60日
+
売上債権回転日数45日
-
仕入債務回転日数30日
=
CCC75日

ネット通販の会社

在庫回転日数20日
+
売上債権回転日数5日
-
仕入債務回転日数60日
=
CCC−35日

CCCがマイナスなら、売上が増えるほど手元の現金が増える。75日なら、成長するほど多くのお金を先に用意する必要がある。

実践での使い方

1

在庫の増え方と売上の増え方を比べる

売上が10%増えたのに在庫が30%増えていたら、売れ残りがたまっている可能性があります。将来値下げして売ることになれば利益が減るので、早めの警告サインになります。

2

売上債権の日数が急に伸びていないか見る

代金の回収が遅れているか、無理に売上を作っている可能性があります。

3

CCCが短い、またはマイナスの会社は、成長してもお金に困りにくい

お客から先にお金を受け取り、仕入れ先には後で払う小売やネット企業は、売上が増えるほど手元の現金が増えます。

4

回転率は同じ業種で比べる

スーパーと高級ブランドでは、在庫の回り方がまったく違います。

第8章

成長性を見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
売上成長率(今期の売上 - 前期の売上)÷ 前期の売上
EPS成長率(今期のEPS - 前期のEPS)÷ 前期のEPS
年平均成長率(CAGR)(最後の年の値 ÷ 最初の年の値)の(1 ÷ 年数)乗 - 1
1株あたりFCFの成長率1株あたりFCFの伸び(数年の年平均)
業績見通し(ガイダンス)—(会社が決算発表で示す)
決算サプライズ(実際の数字 - アナリスト予想の平均)÷ アナリスト予想の平均

売上と利益の伸び

売上成長率

Revenue growth
成長性
計算式(今期の売上 - 前期の売上)÷ 前期の売上
何がわかるか
売上が前の期と比べて何%増えたかです。米国企業は四半期ごとに決算を発表し、前の年の同じ時期と比べる(前年同期比)のが一般的です。
目安
伸び率が加速しているか、鈍っているかの流れを見ます。
注意点
買収で売上が増えた分は、本来の実力とは分けて考えます。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の直近12か月の前年比の中央値 7.9%(真ん中の半数は 4.3%〜14.7%)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」

EPS成長率

EPS growth
成長性
計算式(今期のEPS - 前期のEPS)÷ 前期のEPS
何がわかるか
株主にとっての、1株あたりの利益の伸びです。
注意点
自社株買いで株数が減ると、会社全体の利益が同じでもEPSは伸びます。純利益そのものが伸びているかも合わせて見ます。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の過去5年の年平均の中央値 11.3%(真ん中の半数は 3.7%〜21.0%)11月6日時点・計算できない会社は除く

年平均成長率(CAGR)

Compound annual growth rate
成長性
計算式(最後の年の値 ÷ 最初の年の値)の(1 ÷ 年数)乗 - 1
何がわかるか
数年間の伸びを、「平均すると年何%か」に直したものです。
目安
1年の前年比より、一時的な特需や落ち込みに惑わされにくくなります。
注意点
始まりの年や終わりの年が特殊な年(コロナ禍など)だと、数字がゆがみます。
計算の例売上が5年で100億ドルから200億ドルになれば、年平均約15%

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の売上の過去5年の中央値 8.6%(真ん中の半数は 4.9%〜14.0%)11月6日時点・計算できない会社は除く

年平均15%で伸びると、5年で約2倍売上100億ドルの会社が、毎年15%ずつ伸びた場合

単位:億ドル

計算:100 × 1.15の(年数)乗。

1株あたりFCFの成長率

FCF per share growth
成長性
計算式1株あたりFCFの伸び(数年の年平均)
何がわかるか
現金の面から見た、1株あたりの伸びです。
注意点
設備投資の多い年は小さくなるため、数年の平均で見ます。

業績見通しと決算サプライズ

業績見通し(ガイダンス)

Guidance
成長性
計算式—(会社が決算発表で示す)
何がわかるか
多くの米国企業は、決算発表で次の四半期や通期の売上などの見通しを示します。見通しの引き上げや引き下げは、株価を大きく動かします。
注意点
会社によって、控えめに出す、出さないなど方針が違います。

米株図鑑で見る銘柄ページの「配当・決算」で決算の日程

決算サプライズ

Earnings surprise
成長性
計算式(実際の数字 - アナリスト予想の平均)÷ アナリスト予想の平均
何がわかるか
実際の数字が、アナリスト予想の平均をどれだけ上回ったか、下回ったかです。
注意点
予想を上回っても、次の見通しが予想を下回ると株価が下がることはよくあります。

米株図鑑で見る銘柄ページの「配当・決算」

伸び率が鈍ると、高いPERを保ちにくい(例)売上の前年同期比。伸びそのものは高くても、鈍っていく流れに注意

単位:%

実践での使い方

1

決算では、次の見通しに注目する

株価は過去よりも将来を見て動きます。その四半期の利益が予想を上回っても、次の見通しが予想を下回ると株価が下がることはよくあります。

2

伸び率が加速しているか鈍っているかを追う

伸びが鈍っている会社は高いPERを保ちにくく、伸びが加速し始めた会社は評価が上がりやすくなります。

3

売上と利益の伸びを比べる

利益が売上より速く伸びていれば、効率が上がっています。売上は伸びているのに利益が伸びないなら、値下げ競争や費用の増加を疑います。

4

1年だけでなく、数年の平均(CAGR)で見る

一時的な特需や落ち込みに惑わされないためです。

第9章

お金の流れを見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
営業キャッシュフローキャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」
設備投資・設備投資比率設備投資 ÷ 売上高
フリーキャッシュフロー(FCF)営業キャッシュフロー - 設備投資
FCFマージンフリーキャッシュフロー ÷ 売上高
利益の質営業キャッシュフロー ÷ 純利益
株式報酬の比率株式報酬 ÷ 売上高

営業キャッシュフローとFCF

営業キャッシュフロー

営業CF ・ Operating cash flow
お金の流れ
計算式キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」
何がわかるか
本業で実際に入ってきた現金です。利益と違い、売掛金のようにまだ受け取っていないお金は含みません。
注意点
仕入れ先への支払いを遅らせるなどで、一時的に大きく見えることがあります。

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」→「キャッシュフロー」

設備投資・設備投資比率

設備投資 ・ Capital expenditures(CapEx)
お金の流れ
計算式設備投資 ÷ 売上高
何がわかるか
工場や機械、データセンターなどに使ったお金と、それが売上の何%かです。事業を続けたり広げたりするのに、どれだけお金がかかるかがわかります。
注意点
成長のための投資か、今の事業を続けるための投資かで意味が違います。

フリーキャッシュフロー(FCF)

FCF ・ Free cash flow
お金の流れ
計算式営業キャッシュフロー - 設備投資
何がわかるか
会社が自由に使えるお金です。配当や自社株買い、借金の返済の元手になります。
目安
数年続けてプラスで、伸びているかを見ます。
注意点
成長のための大きな投資で、一時的にマイナスになることもあります。

米株図鑑で見る銘柄ページの「財務」→「キャッシュフロー」

FCFマージン

FCF margin
お金の流れ
計算式フリーキャッシュフロー ÷ 売上高
何がわかるか
売上のうち、FCFとして残る割合です。売上が現金になる力がわかります。
目安
同じ業種の中で高い会社ほど、配当や自社株買い、新しい投資に使えるお金が多くなります。
FCF(フリーキャッシュフロー)の計算
営業キャッシュフロー15億ドル
-
設備投資5億ドル
=
FCF10億ドル

利益の質と株式報酬

利益の質

Quality of earnings
お金の流れ
計算式営業キャッシュフロー ÷ 純利益
何がわかるか
利益が、きちんと現金を伴っているかを見ます。
目安
長い期間で1倍前後かそれ以上なら、利益が現金になっています。
注意点
長い期間、1を大きく下回る会社は、利益の中身に注意します。

株式報酬の比率

SBC ・ Stock-based compensation(SBC)
お金の流れ
計算式株式報酬 ÷ 売上高
何がわかるか
株式報酬が、売上の何%かです。米国のハイテク企業に多い「株で支払う給料」は、現金が出ていかないため、FCFを大きく見せます。その代わり株数が増え、株主の取り分が薄まります。
目安
比率が高い会社は、株式報酬を引いたFCFも計算してみます。
注意点
自社株買いで増えた株数を打ち消しているだけのこともあります(第11章)。
株式報酬を引いたFCF(慎重な見方)
FCF10億ドル
-
株式報酬4億ドル
=
実質的な稼ぎ6億ドル

株式報酬は現金を使わないが、株数が増えて株主の取り分が薄まるため、費用と考える見方もある。

純利益とFCFを5年の合計で比べる(例)利益の割に現金が残っていない会社
純利益(5年合計)100億ドル
FCF(5年合計)40億ドル

利益が現金になっていない。在庫や売掛金が増えていないかなど、利益の中身を確かめる。

実践での使い方

1

純利益とFCFを数年の合計で比べる

1年ごとのぶれをならすため、5年ほどの合計で比べます。

2

株式報酬が多い会社は、その分を引いたFCFも計算する

実質的な稼ぎを、慎重に見積もります。

3

設備投資の中身を見る

新しい工場など成長のための投資でFCFが一時的に小さいのは、必ずしも悪いことではありません。

4

FCFマージンで「売上が現金になる力」を比べる

売上100ドルのうち何ドルが自由に使えるお金として残るかを、同じ業種で比べます。

第10章

財務の安全性を見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
自己資本比率純資産 ÷ 総資産
D/Eレシオ有利子負債 ÷ 純資産
純有利子負債/EBITDA(有利子負債 - 現金)÷ EBITDA
ネットキャッシュ現金 - 有利子負債
インタレスト・カバレッジ・レシオ営業利益 ÷
流動比率流動資産 ÷ 流動負債
当座比率(現金 + 売掛金 + 短期の有価証券)÷ 流動負債
手元の現金で何年持つか現金 ÷ 1年あたりの現金の減少額
信用格付け—(格付け会社が評価)
アルトマンのZスコアいくつかの財務の数字を組み合わせた式

借金の多さ

自己資本比率

Equity ratio
安全性
計算式純資産 ÷ 総資産
何がわかるか
会社の資産のうち、返さなくてよいお金(純資産)でまかなっている割合です。高いほど借金に頼っていません。
注意点
米国企業は自社株買いで純資産が小さく、自己資本比率が低いことも多くあります。借金を稼ぎで割る指標(純有利子負債/EBITDAなど)のほうが実態をつかみやすくなります。

D/Eレシオ

負債資本倍率 ・ Debt-to-equity ratio
安全性
計算式有利子負債 ÷ 純資産
何がわかるか
借金が、株主のお金の何倍かです。
目安
1倍以下なら借金は株主のお金より少ない状態です。業種によって許される水準は違います。
注意点
純資産がマイナスの会社では使えません。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 0.7倍(真ん中の半数は 0.4倍〜1.4倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

純有利子負債/EBITDA

ネットレバレッジ ・ Net debt / EBITDA
安全性
計算式(有利子負債 - 現金)÷ EBITDA
何がわかるか
借金から現金を引いた額が、1年の稼ぎ(EBITDA)の何年分かです。米国でよく使われます。
目安
数字が大きいほど借金が重い状態です。許される水準は業種によって違います。マイナスなら、現金のほうが借金より多い状態です。
注意点
EBITDAは景気で大きく変わるため、景気が悪いときには数字が急に悪化します。
計算の例借金から現金を引いた額30億ドル ÷ EBITDA10億ドル = 3倍(稼ぎの3年分)

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 1.8倍(真ん中の半数は 0.6倍〜3.5倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

ネットキャッシュ

Net cash
安全性
計算式現金 - 有利子負債
何がわかるか
現金が借金より多い状態です。借金を全部返してもお金が残ります。
注意点
現金をため込みすぎて、株主に返していない場合もあります。

米株図鑑で見るスクリーニングの「ネットキャッシュ比率」

インタレスト・カバレッジ・レシオ

Interest coverage ratio
安全性
計算式営業利益 ÷ 支払利息
何がわかるか
本業の利益が、借金の利息の何倍あるかです。低いと利息の支払いが重い状態です。
目安
金利が上がる局面では、この数字が下がっていないかを確かめます。
注意点
一時的に営業利益が落ち込むと、大きく下がります。

短い期間の支払い能力

流動比率

Current ratio
安全性
計算式流動資産 ÷ 流動負債
何がわかるか
1年以内に現金になる資産が、1年以内に返す負債の何倍かです。短い期間の支払い能力がわかります。
目安
1倍を下回ると、短い期間の支払いを手元の資産だけではまかなえない計算になります。
注意点
お客から先に代金を受け取る小売などは、1倍を下回っても問題ないことがあります。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 1.2倍(真ん中の半数は 0.9倍〜1.9倍)11月6日時点・計算できない会社は除く

当座比率

Quick ratio
安全性
計算式(現金 + 売掛金 + 短期の有価証券)÷ 流動負債
何がわかるか
流動比率から、すぐにはお金にならない在庫を除いた、より厳しい支払い能力の目安です。

手元の現金で何年持つか

ランウェイ ・ Cash runway
安全性
計算式現金 ÷ 1年あたりの現金の減少額
何がわかるか
赤字の会社が、今の現金で何年事業を続けられるかの目安です。
注意点
期限が近づくと、新しい株を発行してお金を集める(増資)可能性が高まり、今の株主の取り分が薄まります。
計算の例現金10億ドル ÷ 1年の減少額5億ドル = 約2年

倒産のしにくさの評価

信用格付け

Credit rating
安全性
計算式—(格付け会社が評価)
何がわかるか
S&P、ムーディーズ、フィッチなどの格付け会社が付ける、借金を返す力の評価です。
目安
BBB−(ムーディーズはBaa3)以上が「投資適格」とされます。
注意点
格付けが下がると、お金を借りるときの金利が上がり、利益を圧迫します。
S&Pなどムーディーズ区分
AAAAaa投資適格(最も高い)
AAAa投資適格
AA投資適格
BBBBaa投資適格(最も低い区分)
BB以下Ba以下投機的(ハイイールド)

アルトマンのZスコア

Altman Z-score
安全性
計算式いくつかの財務の数字を組み合わせた式
何がわかるか
倒産の危険度を測る指標です。もとは製造業向けに作られました。
目安
もとの式では、1.8未満は危険、3.0超は安全な水準とされます。
注意点
製造業以外では、そのまま使えないことがあります。

実践での使い方

1

借金の重さは「稼ぎの何年分か」で測る

純有利子負債/EBITDAが大きいほど借金が重い状態です。

2

金利が上がる局面では、借金の多い会社に注意する

利息の支払いが増え、利益が圧迫されやすくなります。インタレスト・カバレッジ・レシオが下がっていないかを確かめます。

3

借金を返す期限を確かめる

返済の期限が近い借金が多い会社は、借り直すときに今より高い金利になるおそれがあります。

4

赤字の会社は、手元の現金で何年持つかを計算する

期限が近いほど、増資で株主の取り分が薄まる可能性が高まります。

5

信用格付けの変化を見る

投資適格(BBB−以上)から外れそうな会社は特に注意します。

第11章

株主還元を見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
配当利回りDPS ÷ 株価
配当性向配当の総額 ÷ 純利益(=DPS ÷ EPS)
FCF配当性向配当の総額 ÷ フリーキャッシュフロー
配当成長率DPSの伸び(数年の年平均)
連続増配年数配当を続けて増やしている年数
自社株買い利回り自社株買いの額 ÷ 時価総額
総還元利回り(配当の総額 + 自社株買いの額)÷ 時価総額
株数の増減(希薄化)(今の株数 - 前の株数)÷ 前の株数

配当の指標

配当利回り

Dividend yield
株主還元
計算式DPS ÷ 株価
何がわかるか
株価に対して、1年に受け取る配当が何%かです。
目安
同じ会社の過去の利回りや、米国債の利回りと比べます。
注意点
株価が下がると利回りは上がるため、高すぎる利回りには注意します。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の配当を出している会社の中央値 1.8%(真ん中の半数は 1.0%〜2.9%)11月6日時点・計算できない会社は除く

米株図鑑で見る銘柄ページの「配当・決算」、配当のページ

配当性向

Payout ratio
株主還元
計算式配当の総額 ÷ 純利益(=DPS ÷ EPS)
何がわかるか
利益のうち、何%を配当に回しているかです。
目安
高すぎると、業績が悪いときに減配しやすくなります。
注意点
一時的に利益が減った年は、配当性向が大きく上がります。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の配当を出している会社の中央値 35.9%(真ん中の半数は 21.9%〜63.2%)11月6日時点・計算できない会社は除く

FCF配当性向

FCF payout ratio
株主還元
計算式配当の総額 ÷ フリーキャッシュフロー
何がわかるか
配当を、自由に使えるお金(FCF)でまかなえているかを見ます。
注意点
100%を超え続けている会社は、稼いだ現金以上の配当を払っています。借金や手元の現金で配当を続けている可能性があり、長くは続きません。

配当成長率

Dividend growth rate
株主還元
計算式DPSの伸び(数年の年平均)
何がわかるか
1株あたり配当が、年平均何%増えているかです。
注意点
増配の幅が年々小さくなっているなら、稼ぐ力が衰えているサインのことがあります。

連続増配年数

Consecutive years of dividend increases
株主還元
計算式配当を続けて増やしている年数
何がわかるか
配当を何年続けて増やしているかです。
目安
S&P500採用銘柄のうち、25年以上続けて増配している会社は「配当貴族」と呼ばれます。
注意点
年数が長くても、増配の幅が小さくなっていないかを見ます。

米株図鑑で見る配当のページの連続増配ランキング

自社株買いと総還元

自社株買い利回り

Buyback yield
株主還元
計算式自社株買いの額 ÷ 時価総額
何がわかるか
会社の値段に対して、1年に自社株買いにどれだけお金を使ったかです。米国企業は、配当より自社株買いで株主に還元することが多くあります。
注意点
株価が割高なときに買うと、株主の得になりにくくなります。

総還元利回り

株主還元利回り ・ Total shareholder yield
株主還元
計算式(配当の総額 + 自社株買いの額)÷ 時価総額
何がわかるか
配当と自社株買いを合わせて、会社の値段の何%を株主に返しているかです。
配当だけで「還元が少ない」と判断しない(例)配当利回り0.5%でも、自社株買いを含めると3%を返している会社
配当利回り0.5%
自社株買い利回り2.5%
総還元利回り3.0%

株数の増減(希薄化)

希薄化 ・ Share count change / Dilution
株主還元
計算式(今の株数 - 前の株数)÷ 前の株数
何がわかるか
株式報酬や増資で株数が増えると、1株あたりの価値が薄まります()。自社株買いをしていても、株数が減っていなければ実質的な還元にはなっていません。
目安
数年で株数が減っているかを確かめます。
自社株買いをしても、株数はあまり減らないことがある(例)
自社株買いで減る株数−5%
+
株式報酬で増える株数+4%
=
実際の株数の変化−1%

実践での使い方

1

配当利回りが急に高くなったら、理由を確かめる

いつも3%前後の会社が6%になったら、株価が大きく下がった可能性があります。業績が悪化して減配されれば、高い利回りは見かけだけになります。

2

配当をFCFでまかなえているかを見る

FCF配当性向が100%を超え続けていないかを確かめます。

3

増配の年数だけでなく、増え方も見る

連続増配が続いていても、増配の幅が年々小さくなっていないかを見ます。

4

自社株買いは、株数の減り方で見る

株式報酬で増える分を差し引いて、実際に株数が減っているかを確かめます。

5

配当の少ない米国企業は、総還元利回りで比べる

自社株買いを含めて、株主にどれだけ返しているかを見ます。

第12章

値動きと売買の状況を見る指標

この章の指標と計算式

指標計算式
ベータ株価と市場全体の値動きの関係から計算
変動率(ボラティリティ)株価の値動きのばらつき(標準偏差)を年率に直したもの
最大下落率(高値の後の最安値 - 高値)÷ 高値
シャープレシオ(リターン - 国債など安全な資産の利回り)÷ 変動率
52週高値・安値過去1年の株価の最高値と最安値
出来高・売買代金1日に売買された株数(出来高)、その金額(売買代金)
空売り残高の比率空売りの残高 ÷ 市場で売買されている株数(浮動株)

値動きの大きさ

ベータ

Beta
値動き
計算式株価と市場全体の値動きの関係から計算
何がわかるか
市場全体(S&P500など)が1%動いたとき、その株が平均で何%動くかです。1より大きいと市場より大きく動きやすく、1より小さいと動きにくい株です。
目安
公益企業や生活必需品は低め、ハイテクや小型株は高めになりやすいです。
注意点
過去の関係から計算するため、将来も同じとは限りません。

米株図鑑のデータS&P500採用銘柄の中央値 0.94(真ん中の半数は 0.59〜1.24)11月6日時点・計算できない会社は除く

市場が10%下がったときの、平均的な下がり方(例)ベータの違いによる計算上の値
ベータ1.5の株−15%
ベータ1.0の株−10%
ベータ0.5の株−5%

実際の値動きは、会社ごとの材料でもっと大きくぶれることがある。

変動率(ボラティリティ)

Volatility
値動き
計算式株価の値動きのばらつき(標準偏差)を年率に直したもの
何がわかるか
株価の上下の振れ幅の大きさです。大きいほど値動きが激しい株です。
注意点
市場が荒れる局面では、多くの株で一斉に大きくなります。

最大下落率

ドローダウン ・ Maximum drawdown
値動き
計算式(高値の後の最安値 - 高値)÷ 高値
何がわかるか
過去の高値から、最も大きく下がった幅です。下落局面でどれだけ下がりうるかの目安になります。
注意点
将来の下落の上限ではありません。

シャープレシオ

Sharpe ratio
値動き
計算式(リターン - 国債など安全な資産の利回り)÷ 変動率
何がわかるか
値動きの大きさ(リスク)に対して、どれだけ効率よくリターンを得たかです。高いほど効率が良いことを示します。
注意点
過去の成績から計算するため、計算する期間で大きく変わります。

売買の状況

52週高値・安値

52-week high / low
値動き
計算式過去1年の株価の最高値と最安値
何がわかるか
今の株価が、過去1年の範囲のどのあたりにあるかを見ます。
注意点
安値に近い場合は、なぜ下がったのかを確かめてから判断します。

米株図鑑で見る銘柄ページの「概要」の株価チャート

出来高・売買代金

Volume / Dollar volume
値動き
計算式1日に売買された株数(出来高)、その金額(売買代金)
何がわかるか
1日にどれだけ売買されているかです。
注意点
少ないと、売りたいときに希望の値段で売れないことがあります。特に小型株で注意します。

空売り残高の比率

ショート・インタレスト ・ Short interest(% of float)
値動き
計算式空売りの残高 ÷ 市場で売買されている株数(浮動株)
何がわかるか
株価の下落を予想して、借りた株を売っている量が、市場で売買されている株数の何%かです。高いと、悲観的な見方をする投資家が多いことを示します。
目安
日本で「空売り比率」と呼ぶ、その日の売買代金に占める空売りの割合とは別の指標です。
注意点
良い知らせが出ると、空売りをした人があわてて買い戻し、株価が急に上がることもあります。

実践での使い方

1

値動きの大きい株は、持つ量で調整する

ベータが1.5の株は、市場が10%下がると平均15%下がる計算です。資産全体に占める割合を小さくするなど、組み合わせで全体の値動きを調整します。

2

最大下落率で、自分が耐えられるかを考える

過去に50%下がったことのある株は、また半分になることがあります。そのときに売らずに持ち続けられるかを、買う前に考えておきます。

3

出来高の少ない株に注意する

売りたいときに希望の値段で売れないことがあります。

4

空売り残高の比率が高い株は、理由を確かめる

悪い材料が隠れていないかを確かめます。

第13章

市場の評価を見る指標

この章の指標は計算するものではなく、アナリストのレポートや、米証券取引委員会()に提出された書類の数字をそのまま見ます。

この章の指標と計算式

指標計算式
アナリストの評価と目標株価—(証券会社のアナリストが発表)
機関投資家の保有比率—(様式13Fなどから集計)
経営陣の自社株の売買—(様式4から集計)

プロと経営陣の見方

アナリストの評価と目標株価

Analyst ratings / Price target
市場の評価
計算式—(証券会社のアナリストが発表)
何がわかるか
証券会社のアナリスト(会社を分析する専門家)が出す「買い・中立・売り」の評価と、今後1年ほどで届くと見る株価です。
目安
多くのアナリストの平均を参考にします。目標株価そのものより、評価や予想の変化の流れを見ます。
注意点
外れることも多くあります。

機関投資家の保有比率

13F ・ Institutional ownership(Form 13F)
市場の評価
計算式—(様式13Fなどから集計)
何がわかるか
運用会社などのプロが、その株をどれだけ持っているかです。米国では、株などを1億ドル以上運用する機関投資家が、四半期末から45日以内に保有銘柄をSECに報告します(様式13F)。
注意点
最大で1か月半ほど前の情報なので、今も持っているとは限りません。

米株図鑑で見る著名投資家のポートフォリオ、銘柄ページの「著名投資家の保有」

四半期末保有銘柄が確定3月末・6月末・9月末・12月末時点の保有
45日以内SECに報告(様式13F)多くの機関投資家は、期限ぎりぎりに提出する
公開後誰でも見られるただし最大で1か月半ほど前の情報。その後に売っている可能性もある

経営陣の自社株の売買

Insider transactions(Form 4)
市場の評価
計算式—(様式4から集計)
何がわかるか
役員などが自社株を売買すると、原則として2営業日以内にSECに報告されます(様式4)。英語ではinsider tradingと呼びますが、日本でいう違法な「インサイダー取引」ではなく、ルールに沿った売買です。
目安
複数の経営陣が自分のお金でまとまって買っている場合は、自信の表れとして注目されやすいです。
注意点
売りは税金の支払いや資産の分散のためのことが多く、あらかじめ決めた計画どおりの売却も多いので、売りだけで悲観しません。

実践での使い方

1

目標株価より、評価や予想の変化の流れを見る

複数のアナリストが評価を引き上げているか、利益の予想を上方修正しているかという流れのほうが参考になります。

2

アナリスト予想の平均を、決算を見るときの「物差し」に使う

決算で株価が動くのは、数字が予想の平均を上回ったか下回ったかであることが多いです。決算の前に予想の平均を確かめておきます。

3

機関投資家の保有は「過去の情報」として使う

有名な投資家と同じ銘柄を買うときは、その後に売っている可能性に注意します。

4

経営陣の売買は、「買い」に注目する

売りだけで悲観しないようにします。

第14章

業種ごとに使われる指標

業種によっては、PERなどの一般的な指標では実態がつかめないため、その業種ならではの指標が使われます。

この章の指標と計算式

指標計算式
FFO純利益 + 不動産の減価償却費 - 不動産の売却益
P/FFO株価 ÷ 1株あたりFFO
純金利マージン(受取利息 - 支払利息)÷ 利息を生む資産
CET1比率普通株式などの中核的な資本 ÷ リスクを考えた資産
コンバインド・レシオ(支払った保険金 + 経費)÷ 保険料
ARR年間の定額収入(月の定額収入 × 12など)
売上継続率(NRR)既存の顧客からの今年の売上 ÷ 同じ顧客からの前年の売上
ルール・オブ・40売上成長率 + 利益率(FCFマージンなど)
ARPU売上高 ÷ 利用者数
既存店売上高開店から1年以上たった店の売上の前年比
BBレシオ受注額 ÷ 売上高

業種別の指標の一覧

業種よく使われる指標理由
不動産投資信託(REIT)FFO、AFFO、株価FFO倍率(P/FFO)、稼働率、NOI(物件からの純収益)建物の減価償却費が大きく、純利益では実態がつかめない
銀行PBR、有形純資産倍率、ROE、利ざや(純金利マージン)、経費率、CET1比率資産と借金そのものが商売の中心
損害保険コンバインド・レシオ、PBR保険の引き受けそのものでもうかっているかを見る
ソフトウェア(SaaS)ARR(年間の定額収入)、売上継続率(NRR)、ルール・オブ・40、RPO(契約済みで未計上の売上)赤字でも成長を優先する会社が多い
ネットサービス・SNS月間・1日あたりの利用者数(MAU・DAU)、ARPU利用者の数と収益化の力が売上を決める
通信ARPU、解約率、契約数の純増契約者からの定額収入が中心
小売・外食既存店売上高、在庫回転率出店による伸びと、店そのものの力を分けて見る
半導体・設備、BBレシオ、在庫日数将来の売上の先行きや景気の波がわかる
エネルギー生産量、確認埋蔵量、採算が取れる原油価格原油やガスの価格で業績が大きく変わる
製薬・バイオ開発中の薬(パイプライン)、特許切れの時期、手元の現金で何年持つか将来の売上が新薬の成否で決まる

主な業種別の指標

FFO

AFFO ・ Funds from operations
業種別
計算式純利益 + 不動産の減価償却費 - 不動産の売却益
何がわかるか
REIT(不動産投資信託)の、本業で生んだお金の目安です。建物は帳簿上で毎年価値が減っていく(減価償却)一方、実際の不動産の価値は下がらないことも多いため、純利益の代わりに使います。
目安
AFFOは、FFOから建物の維持にかかる費用などをさらに引いたもので、配当を払う力に近い数字です。
注意点
会社によって計算の細かい部分が違います。

P/FFO

株価FFO倍率 ・ Price to FFO
業種別
計算式株価 ÷ 1株あたりFFO
何がわかるか
REIT版のPERです。
注意点
物件の種類(データセンター、倉庫、オフィスなど)で水準が違います。

純金利マージン

利ざや ・ Net interest margin(NIM)
業種別
計算式(受取利息 - 支払利息)÷ 利息を生む資産
何がわかるか
銀行の「利ざや」です。貸し出しなどで受け取る利息と、預金などに払う利息の差がどれだけあるかを示します。
注意点
金利の動きで大きく変わります。

CET1比率

普通株式等Tier1比率 ・ Common equity Tier 1 ratio
業種別
計算式普通株式などの中核的な資本 ÷ リスクを考えた資産
何がわかるか
銀行の、損失への備えとなる資本の厚さです。規制で最低限の水準が決められています。
目安
規制の水準を十分に上回っていれば、配当や自社株買いに回せる余裕があります。

コンバインド・レシオ

Combined ratio
業種別
計算式(支払った保険金 + 経費)÷ 保険料
何がわかるか
損害保険の会社が、保険の引き受けそのものでもうかっているかを見ます。
目安
100%未満なら、保険の本業が黒字です。
注意点
大きな自然災害の年は、大きく悪化します。

ARR

年間経常収益 ・ Annual recurring revenue
業種別
計算式年間の定額収入(月の定額収入 × 12など)
何がわかるか
ソフトウェア(SaaS)の会社が、1年間で見込める定額の収入です。
注意点
会社ごとに定義が違い、GAAPの売上とも一致しません。

売上継続率(NRR)

NRR・売上維持率 ・ Net revenue retention
業種別
計算式既存の顧客からの今年の売上 ÷ 同じ顧客からの前年の売上
何がわかるか
既存の顧客が、1年でどれだけ利用を増やしたか(解約も含めて)を示します。
目安
100%を超えれば、新しい顧客がいなくても売上が伸びる状態です。

ルール・オブ・40

Rule of 40
業種別
計算式売上成長率 + 利益率(FCFマージンなど)
何がわかるか
SaaSの会社で、成長と利益のバランスを見る目安です。
目安
合計が40%以上なら、成長と利益のバランスがとれているとされます。
注意点
利益率に何を使うかは、資料によって違います。
計算の例売上成長率30% + FCFマージン15% = 45%

ARPU

Average revenue per user
業種別
計算式売上高 ÷ 利用者数
何がわかるか
利用者1人あたりの売上です。ネットサービスや通信の会社で、収益化の力を見ます。
注意点
地域によって大きく違います。

既存店売上高

Same-store sales / Comparable sales
業種別
計算式開店から1年以上たった店の売上の前年比
何がわかるか
小売や外食で、出店による伸びを除いた、店そのものの力を見ます。
注意点
会社によって、ネット販売を含めるかなど定義が違います。

BBレシオ

Book-to-bill ratio
業種別
計算式受注額 ÷ 売上高
何がわかるか
半導体や設備の会社で、注文がどれだけ入っているかを見ます。
目安
1を上回れば、売上より多くの注文が入っており、将来の売上が増える見込みです。
第15章

指標どうしの関係

指標はばらばらに見えますが、多くはお互いにつながっています。つながりを知っておくと、1つの数字が動いた理由を分けて考えられます。

覚えておきたい4つの関係

PBR、PER、ROE

PER20倍
×
ROE15%
=
PBR3倍

益回りとPER

11
÷
PER20倍
=
益回り5%

ROEの分け方(デュポン分析)

純利益率10%
×
総資産回転率1.0回
×
総資産 ÷ 純資産1.5倍
=
ROE15%

PEGレシオ

PER20倍
÷
EPSの年成長率20
=
PEG1倍

FCF利回りとP/FCFの関係も、益回りとPERと同じ(FCF利回り = 1 ÷ P/FCF)。

PBR=PER×ROEからわかること

ROEが高い会社は、PBRも高くなりやすいといえます。PBRが高いのに「割高」と決めつける前に、ROEの高さを確かめましょう。反対に、ROEが低いのにPERが高い会社は、PBRで見ても割高になりやすいといえます。

第16章

指標を使うときの注意点

1

比べる相手をそろえる

同じ業種の会社や、その会社の過去の水準と比べます。業種の違う会社の指標をそのまま比べないようにします。

2

1つの指標だけで判断しない

割安さ・稼ぐ力・成長性・安全性など、種類の違う指標を組み合わせます。

3

「安いには理由がある」ことも多い

業績が悪化している会社は、PERが低くても割安とは限りません。

4

予想の数字は外れることがある

予想PERやPEGレシオは、アナリストの予想をもとにしています。

5

同じ名前でも、数字が違うことがある

サイトや資料によって、実績か予想か、調整後か会計ルールどおりかなど、計算方法が違います。

6

一時的な要因で大きく動く

買収、資産の売却、税金などで、1年だけ指標が大きく動くことがあります。

株のタイプで、指標の見え方は違う

株のタイプ指標の見え方見るときのポイント
成長株PERやPSRが高い。配当は少ないか、ない売上と利益の伸びが続いているか。PEGレシオや逆算DCFで、期待が高すぎないか
景気に左右される株景気が良く利益が多い時期にPERが低く、景気が悪い時期に高く見えるPERより、PBRや数年の平均利益、受注の流れで判断する
高配当株配当利回りが高く、PERは低めのことが多い配当性向とFCF配当性向に余裕があるか。利回りが高いのは株価が下がったせいではないか
赤字の成長企業PERが使えない。PSRが高い売上の伸び、売上総利益率、手元の現金で何年持つか、株数の増え方
第17章

実践編①:目的別に銘柄を探す

指標の条件で銘柄を絞り込むことを「スクリーニング」といいます。目的によって、重視する指標が違います。下の条件は一例です。リンクを押すと、米株図鑑のスクリーニングでその条件を試せます(条件は自由に変えられます)。

目的条件の例注意点試す
成長株を探す売上が過去3年で年20%以上伸びている、売上総利益率が50%以上、時価総額100億ドル以上成長が鈍ると株価が大きく下がりやすい条件を開く
質の高い会社を探すROICが15%以上、営業利益率が20%以上、D/Eレシオが1倍以下人気があり、株価が割高になりやすい条件を開く
割安株を探すPERが15倍以下、EV/EBITDAが10倍以下、FCF利回りが5%以上安い理由(業績の悪化、業界の衰退)がないかを確かめる条件を開く
高配当株を探す配当利回りが3%以上、配当性向が70%以下、連続増配10年以上利回りの高さだけで選ばない条件を開く
赤字の成長企業を見る売上が前年比25%以上伸びている、売上総利益率が60%以上、純利益率がマイナス増資による株式の希薄化に注意条件を開く

※条件の数字は一例で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。スクリーニングの結果は、そのまま投資の判断に使わず、1社ずつ中身を確かめてください。

第18章

実践編②:1つの銘柄を指標で分析する手順

1つの銘柄を調べるときは、次の順番で見ると、見落としが少なくなります。

STEP 1事業を理解する何で稼いでいるか、どの業種の専用の指標を見るべきかを確認する
STEP 2成長性過去5年の売上とEPSの伸び、直近の四半期で伸びが加速しているか鈍っているか
STEP 3稼ぐ力利益率とROICが上向きか、同業より高いか
STEP 4お金の流れFCFが純利益に見合っているか、株式報酬が多すぎないか
STEP 5安全性借金を稼ぎで返せるか、利息の負担は重くないか
STEP 6株主還元配当と自社株買い、株数が実際に減っているか
STEP 7割安・割高過去のPERの範囲、同業との比較、逆算DCFで今の株価が前提にする成長率
STEP 8結論を書き留める買う理由と、何が起きたら考えを改めるかを、指標で書いておく

ケーススタディ:PERが低いほうが割安とは限らない

架空のA社とB社を、同じ手順で比べてみます。

A社(高成長)B社(低成長)
PER35倍12倍
EPSの年成長率(過去5年)25%3%
PEGレシオ1.4倍4.0倍
ROIC25%7%
FCF ÷ 純利益1.1倍0.7倍
純有利子負債/EBITDA−0.5倍(現金のほうが多い)3.5倍

PERだけを見るとB社が割安に見えます。しかし、成長の速さを考えたPEGレシオではA社のほうが低く、稼ぐ力(ROIC)や利益の質、借金の少なさでもA社が上回っています。B社のPERの低さは、成長の遅さや借金の多さを市場が考えに入れた結果とも読めます。どちらが割安かは、PERの低さだけでは決まりません。

※A社・B社は説明のための架空の会社です。A社も、成長が期待を下回れば株価が大きく下がるリスクがあります。

第19章

実践編③:買った後のチェックとよくある失敗

決算ごとに確認すること

  • 売上とEPSの伸び、利益率、業績見通し(ガイダンス)、FCF、株数
  • 買った理由が崩れていないかを、書き留めた指標と照らし合わせる
  • 株価が上がってPERが過去の範囲を大きく超えたら、期待が織り込まれすぎていないかを見直す

よくある失敗

1

PERが低いだけで買う

業績が下がり続けて、いつまでも安いままの「バリュートラップ」にはまることがあります。

2

配当利回りの高さだけで選ぶ

株価が下がって利回りが高く見えていただけで、その後に減配されることがあります。

3

調整後の利益だけを見る

会社が強調する調整後の利益は、GAAPの利益より良く見えやすくなります。

4

1回の決算や短い期間の値動きで判断する

数四半期、数年の流れで見ます。

5

日本株と同じ感覚で米国株のPBRを見る

米国では自社株買いでPBRが極端に高い会社が多く、日本株と同じ目安は使えません。

6

業種の違う会社の指標をそのまま比べる

業種で普通の水準が違うため、同じ業種の中で比べます。

第20章

米株図鑑で指標を確認する手順

米株図鑑の各銘柄ページでは、この記事で紹介した指標の多くを確かめられます。次の順番で見るのがおすすめです。

STEP 1成長性「財務」→「損益計算書」で、売上と利益の推移を見ます。例:マイクロソフト →
STEP 2稼ぐ力「財務」→「指標・比率」で、利益率やROEの推移を見ます。
STEP 3お金の流れと安全性「財務」→「キャッシュフロー」と「貸借対照表」で、FCFと借金を見ます。
STEP 4株主還元「配当・決算」で、配当の推移と決算の結果を見ます。例:コカ・コーラ →
STEP 5割安・割高「バリュエーション」で、PER、EV/EBITDA、PSR、PBR、P/FCFの過去の推移を見て、今が高い側か低い側かを確かめます。
STEP 6同業他社と比べる「比較」で、同じ業種の会社と指標を並べます。比較を開く →

目的別のチェックリスト

成長株のチェックリスト売上が年20%前後以上伸びている/伸びが鈍っていない/売上総利益率が高い/FCFがプラス、または黒字化が見えている/株式報酬で株数が増えすぎていない/PEGレシオや過去のPERの範囲で期待が高すぎない
高配当株のチェックリスト配当利回りが過去の平均と比べて極端に高くない/配当性向とFCF配当性向に余裕がある/連続増配が続き、増配の幅が保たれている/借金が重すぎない(純有利子負債/EBITDA)
質の高い会社のチェックリストROICが高い水準で続いている/営業利益率が高く安定している/FCFが純利益とほぼ同じ/借金が少ない/株数が減っている
第21章

よくある質問

Q. PERは何倍なら割安ですか?

決まった基準はありません。S&P500全体の予想PERは18.7倍(2026年10月30日時点)ですが、業種によって普通の水準が大きく違います。同じ業種の会社や、その会社の過去5〜10年のPERの範囲と比べて判断します。成長の速さが違う会社は、PEGレシオも使います。

Q. PBR1倍割れの株は割安ですか?

それだけでは判断できません。帳簿上の株主の取り分より安く買える状態ですが、「資産に帳簿ほどの価値がない」「利益がほとんど出ていない」と市場が見ていることが多いからです。ROEの低さや資産の健全さを確かめます。米国株では、自社株買いでPBRが極端に高い会社も多く、PBRが使いにくい業種もあります。

Q. 配当利回りは高いほどよいですか?

高すぎる利回りには注意が必要です。株価が大きく下がったために利回りが高く見えていることがあり、業績が悪化して減配されれば、高い利回りは見かけだけになります。配当性向やFCF配当性向に余裕があるかを確かめます。

Q. 赤字の会社はどう評価しますか?

PERが使えないため、PSR(時価総額 ÷ 売上高)や売上の伸び、売上総利益率で見ます。SaaSの会社ではルール・オブ・40も使います。あわせて、手元の現金で何年事業を続けられるかと、増資による株数の増え方を確かめます。

Q. 日本株と米国株で、指標の目安は違いますか?

違います。米国企業は自社株買いで純資産が小さい会社が多く、PBRやROE、自己資本比率の見え方が日本株と大きく異なります。また、株式報酬や調整後の利益など、米国企業に多い数字の扱いにも注意が必要です。

Q. 指標はどこで確認できますか?

米株図鑑の各銘柄ページで、PER、PBR、EV/EBITDAなどの過去の推移、財務の推移、配当を確かめられます。条件で銘柄を絞り込むにはスクリーニング、同業他社と比べるには比較を使ってください。決算の原本は、米証券取引委員会(SEC)の書類(年次報告書10-K、四半期報告書10-Q)でも確かめられます。

まとめ

  • 株価の金額だけでは、割安か割高かはわかりません。会社の利益や資産、売上と比べて、はじめて判断できます。
  • PERは「利益の何年分か」、PBRは「純資産の何倍か」を示します。米国株では、自社株買いでPBRが極端に高くなる会社も多く、使い方に注意が必要です。
  • 割安さだけでなく、稼ぐ力、効率性、成長性、お金の流れ、財務の安全性、株主還元など、種類の違う指標を組み合わせて見ます。
  • 指標は、同じ業種の会社やその会社の過去の水準と比べるのが基本です。業種によっては、REITのFFOや銀行の純金利マージンなど、専用の指標を使います。
付録

付録:指標の早見表

この記事で紹介したすべての指標を、1つの表にまとめました。名前や英語名で絞り込んだり、グループで絞り込んだりできます。米国の決算資料やサイトを読むときに役立つよう、英語の名前も載せています。

時価総額Market capitalization基本株価 × 発行済み株式数株式市場でついている、会社全体の値段です。
発行済み株式数・希薄化後の株式数Shares outstanding / Diluted shares基本—発行済み株式数は、今ある株の数です。
EPSEarnings per share基本純利益 ÷ 発行済み株式数1株が1年間に生んだ利益です。
BPSBook value per share基本純資産 ÷ 発行済み株式数1株あたりの、帳簿上の株主の取り分です。
DPSDividends per share基本配当の総額 ÷ 発行済み株式数1株を持っていると、1年に受け取れる配当です。
1株あたりFCFFree cash flow per share基本フリーキャッシュフロー ÷ 発行済み株式数1株あたり、会社が自由に使えるお金がどれだけ生まれたかです。
EVEnterprise value基本時価総額 + - 現金借金も含めて、会社を丸ごと買うときの値段です。
PERPrice-to-earnings ratio(P/E)割安・割高株価 ÷ EPS(=時価総額 ÷ 純利益)今の利益が続くとして、会社の値段が利益の何年分にあたるかを示します。
益回りEarnings yield割安・割高EPS ÷ 株価(=1 ÷ PER)PERをひっくり返したもので、株価に対して1年でどれだけの利益を生んでいるかを%で表します。
シラーPERCyclically adjusted P/E(CAPE)割安・割高株価 ÷ 物価上昇分を調整した過去10年のEPSの平均1年の利益は景気で大きくぶれるため、普通のPERは景気が良いときに低く、悪いときに高く見えやすくなります。
PBRPrice-to-book ratio(P/B)割安・割高株価 ÷ BPS(=時価総額 ÷ 純資産)会社の値段が、帳簿上の株主の取り分(純資産)の何倍かを示します。
有形純資産倍率Price to tangible book value(P/TBV)割安・割高時価総額 ÷(純資産 - などの無形資産)買収で生じたのれんなど、売ってもお金になりにくい資産を除いた純資産と比べます。
PSRPrice-to-sales ratio(P/S)割安・割高時価総額 ÷ 売上高会社の値段が、1年の売上の何倍かを示します。
PEGレシオPEG ratio割安・割高PER ÷ EPSの年成長率(%の数字)成長の速さを考えに入れたPERです。
EV/EBITDAEV / EBITDA割安・割高EV ÷ EBITDA(EBITDAは、おおむね営業利益 + )借金も含めた会社の値段(EV)が、本業で稼ぐ現金に近い利益(EBITDA)の何年分かを示します。
EV/EBITEV / EBIT割安・割高EV ÷ EBIT(おおむね営業利益)EV/EBITDAと似ていますが、減価償却費を引いた後の利益で比べます。
EV/売上EV / Sales割安・割高EV ÷ 売上高PSRの、借金も含めた版です。
株価キャッシュフロー倍率Price to cash flow(P/CF)割安・割高時価総額 ÷ 営業キャッシュフロー利益の代わりに、本業で実際に入ってきた現金と比べます。
P/FCFPrice to free cash flow割安・割高時価総額 ÷ フリーキャッシュフロー会社の値段が、自由に使えるお金(FCF)の何年分かを示します。
FCF利回りFree cash flow yield割安・割高フリーキャッシュフロー ÷ 時価総額(=1 ÷ P/FCF)会社の値段に対して、1年で自由に使えるお金がどれだけ生まれているかを%で表します。
理論株価(DCF法)Discounted cash flow(DCF)割安・割高(将来のFCFを今の価値に直した合計 + 現金 - 有利子負債)÷ 発行済み株式数将来稼ぐFCFを予想し、それぞれを今の価値に割り引いて合計します。
配当割引モデルDividend discount model(DDM)割安・割高来年の1株あたり配当 ÷(割引率 - 配当の成長率)将来受け取る配当を、今の価値に割り引いて合計します(配当が一定の率で伸び続ける場合の式)。
逆算DCFReverse DCF割安・割高今の株価になるような、将来の成長率を逆に求めるDCFの計算を逆にたどり、今の株価が「将来どれくらいの成長」を前提にしているかを出します。
売上総利益率Gross margin稼ぐ力(売上高 - 売上原価)÷ 売上高売上から、作る・仕入れる費用(売上原価)を引いた残りの割合です。
営業利益率Operating margin稼ぐ力営業利益 ÷ 売上高売上総利益から、さらに人件費や広告費、研究開発費などを引いた「本業のもうけ」の割合です。
純利益率Net margin稼ぐ力純利益 ÷ 売上高税金や利息なども引いた、最終的なもうけの割合です。
EBITDAマージンEBITDA margin稼ぐ力EBITDA ÷ 売上高EBITDA(利息、税金、減価償却費を引く前の利益)が、売上の何%かです。
研究開発費の比率R&D to sales稼ぐ力研究開発費 ÷ 売上高売上のうち、どれだけを将来の製品や技術の開発に使っているかです。
ROEReturn on equity稼ぐ力純利益 ÷ 純資産株主が出したお金(純資産)で、1年にどれだけ利益を上げたかです。
ROAReturn on assets稼ぐ力純利益 ÷ 総資産借金も含めた会社のすべての資産で、どれだけ利益を上げたかです。
ROICReturn on invested capital稼ぐ力税引き後の営業利益 ÷(純資産 + 有利子負債)本業に投じたお金(株主のお金と借金)で、どれだけ稼いだかです。
資本コスト(WACC)Weighted average cost of capital稼ぐ力株主が求める利回りと借金の金利を、それぞれの金額の割合で平均したもの株主とお金の貸し手が、会社に求める平均的な利回りです。
総資産回転率Asset turnover効率性売上高 ÷ 総資産持っている資産の何倍の売上を作ったかです。
在庫回転日数Days inventory outstanding(DIO)効率性在庫 ÷ 売上原価 × 365在庫が売れるまでに、平均で何日かかるかです。
売上債権回転日数Days sales outstanding(DSO)効率性売掛金 ÷ 売上高 × 365商品を売ってから、代金を受け取るまでの平均日数です。
仕入債務回転日数Days payables outstanding(DPO)効率性買掛金 ÷ 売上原価 × 365仕入れてから、代金を支払うまでの平均日数です。
キャッシュ・コンバージョン・サイクルCash conversion cycle効率性在庫回転日数 + 売上債権回転日数 - 仕入債務回転日数仕入れ先にお金を払ってから、お客から代金を回収するまでの日数です。
売上成長率Revenue growth成長性(今期の売上 - 前期の売上)÷ 前期の売上売上が前の期と比べて何%増えたかです。
EPS成長率EPS growth成長性(今期のEPS - 前期のEPS)÷ 前期のEPS株主にとっての、1株あたりの利益の伸びです。
年平均成長率(CAGR)Compound annual growth rate成長性(最後の年の値 ÷ 最初の年の値)の(1 ÷ 年数)乗 - 1数年間の伸びを、「平均すると年何%か」に直したものです。
1株あたりFCFの成長率FCF per share growth成長性1株あたりFCFの伸び(数年の年平均)現金の面から見た、1株あたりの伸びです。
業績見通し(ガイダンス)Guidance成長性—(会社が決算発表で示す)多くの米国企業は、決算発表で次の四半期や通期の売上などの見通しを示します。
決算サプライズEarnings surprise成長性(実際の数字 - アナリスト予想の平均)÷ アナリスト予想の平均実際の数字が、アナリスト予想の平均をどれだけ上回ったか、下回ったかです。
営業キャッシュフローOperating cash flowお金の流れキャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」本業で実際に入ってきた現金です。
設備投資・設備投資比率Capital expenditures(CapEx)お金の流れ設備投資 ÷ 売上高工場や機械、データセンターなどに使ったお金と、それが売上の何%かです。
フリーキャッシュフロー(FCF)Free cash flowお金の流れ営業キャッシュフロー - 設備投資会社が自由に使えるお金です。
FCFマージンFCF marginお金の流れフリーキャッシュフロー ÷ 売上高売上のうち、FCFとして残る割合です。
利益の質Quality of earningsお金の流れ営業キャッシュフロー ÷ 純利益利益が、きちんと現金を伴っているかを見ます。
株式報酬の比率Stock-based compensation(SBC)お金の流れ株式報酬 ÷ 売上高株式報酬が、売上の何%かです。
自己資本比率Equity ratio安全性純資産 ÷ 総資産会社の資産のうち、返さなくてよいお金(純資産)でまかなっている割合です。
D/EレシオDebt-to-equity ratio安全性有利子負債 ÷ 純資産借金が、株主のお金の何倍かです。
純有利子負債/EBITDANet debt / EBITDA安全性(有利子負債 - 現金)÷ EBITDA借金から現金を引いた額が、1年の稼ぎ(EBITDA)の何年分かです。
ネットキャッシュNet cash安全性現金 - 有利子負債現金が借金より多い状態です。
インタレスト・カバレッジ・レシオInterest coverage ratio安全性営業利益 ÷ 本業の利益が、借金の利息の何倍あるかです。
流動比率Current ratio安全性流動資産 ÷ 流動負債1年以内に現金になる資産が、1年以内に返す負債の何倍かです。
当座比率Quick ratio安全性(現金 + 売掛金 + 短期の有価証券)÷ 流動負債流動比率から、すぐにはお金にならない在庫を除いた、より厳しい支払い能力の目安です。
手元の現金で何年持つかCash runway安全性現金 ÷ 1年あたりの現金の減少額赤字の会社が、今の現金で何年事業を続けられるかの目安です。
信用格付けCredit rating安全性—(格付け会社が評価)S&P、ムーディーズ、フィッチなどの格付け会社が付ける、借金を返す力の評価です。
アルトマンのZスコアAltman Z-score安全性いくつかの財務の数字を組み合わせた式倒産の危険度を測る指標です。
配当利回りDividend yield株主還元DPS ÷ 株価株価に対して、1年に受け取る配当が何%かです。
配当性向Payout ratio株主還元配当の総額 ÷ 純利益(=DPS ÷ EPS)利益のうち、何%を配当に回しているかです。
FCF配当性向FCF payout ratio株主還元配当の総額 ÷ フリーキャッシュフロー配当を、自由に使えるお金(FCF)でまかなえているかを見ます。
配当成長率Dividend growth rate株主還元DPSの伸び(数年の年平均)1株あたり配当が、年平均何%増えているかです。
連続増配年数Consecutive years of dividend increases株主還元配当を続けて増やしている年数配当を何年続けて増やしているかです。
自社株買い利回りBuyback yield株主還元自社株買いの額 ÷ 時価総額会社の値段に対して、1年に自社株買いにどれだけお金を使ったかです。
総還元利回りTotal shareholder yield株主還元(配当の総額 + 自社株買いの額)÷ 時価総額配当と自社株買いを合わせて、会社の値段の何%を株主に返しているかです。
株数の増減(希薄化)Share count change / Dilution株主還元(今の株数 - 前の株数)÷ 前の株数株式報酬や増資で株数が増えると、1株あたりの価値が薄まります(希薄化)。
ベータBeta値動き株価と市場全体の値動きの関係から計算市場全体(S&P500など)が1%動いたとき、その株が平均で何%動くかです。
変動率(ボラティリティ)Volatility値動き株価の値動きのばらつき(標準偏差)を年率に直したもの株価の上下の振れ幅の大きさです。
最大下落率Maximum drawdown値動き(高値の後の最安値 - 高値)÷ 高値過去の高値から、最も大きく下がった幅です。
シャープレシオSharpe ratio値動き(リターン - 国債など安全な資産の利回り)÷ 変動率値動きの大きさ(リスク)に対して、どれだけ効率よくリターンを得たかです。
52週高値・安値52-week high / low値動き過去1年の株価の最高値と最安値今の株価が、過去1年の範囲のどのあたりにあるかを見ます。
出来高・売買代金Volume / Dollar volume値動き1日に売買された株数(出来高)、その金額(売買代金)1日にどれだけ売買されているかです。
空売り残高の比率Short interest(% of float)値動き空売りの残高 ÷ 市場で売買されている株数(浮動株)株価の下落を予想して、借りた株を売っている量が、市場で売買されている株数の何%かです。
アナリストの評価と目標株価Analyst ratings / Price target市場の評価—(証券会社のアナリストが発表)証券会社のアナリスト(会社を分析する専門家)が出す「買い・中立・売り」の評価と、今後1年ほどで届くと見る株価です。
機関投資家の保有比率Institutional ownership(Form 13F)市場の評価—(様式13Fなどから集計)運用会社などのプロが、その株をどれだけ持っているかです。
経営陣の自社株の売買Insider transactions(Form 4)市場の評価—(様式4から集計)役員などが自社株を売買すると、原則として2営業日以内にSECに報告されます(様式4)。
FFOFunds from operations業種別純利益 + 不動産の減価償却費 - 不動産の売却益REIT(不動産投資信託)の、本業で生んだお金の目安です。
P/FFOPrice to FFO業種別株価 ÷ 1株あたりFFOREIT版のPERです。
純金利マージンNet interest margin(NIM)業種別(受取利息 - 支払利息)÷ 利息を生む資産銀行の「利ざや」です。
CET1比率Common equity Tier 1 ratio業種別普通株式などの中核的な資本 ÷ リスクを考えた資産銀行の、損失への備えとなる資本の厚さです。
コンバインド・レシオCombined ratio業種別(支払った保険金 + 経費)÷ 保険料損害保険の会社が、保険の引き受けそのものでもうかっているかを見ます。
ARRAnnual recurring revenue業種別年間の定額収入(月の定額収入 × 12など)ソフトウェア(SaaS)の会社が、1年間で見込める定額の収入です。
売上継続率(NRR)Net revenue retention業種別既存の顧客からの今年の売上 ÷ 同じ顧客からの前年の売上既存の顧客が、1年でどれだけ利用を増やしたか(解約も含めて)を示します。
ルール・オブ・40Rule of 40業種別売上成長率 + 利益率(FCFマージンなど)SaaSの会社で、成長と利益のバランスを見る目安です。
ARPUAverage revenue per user業種別売上高 ÷ 利用者数利用者1人あたりの売上です。
既存店売上高Same-store sales / Comparable sales業種別開店から1年以上たった店の売上の前年比小売や外食で、出店による伸びを除いた、店そのものの力を見ます。
BBレシオBook-to-bill ratio業種別受注額 ÷ 売上高半導体や設備の会社で、注文がどれだけ入っているかを見ます。

全88指標。名前を押すと本文の解説へ移動します。

用語集

有利子負債
銀行からの借入金や社債など、利息を払う必要がある借金。
株式報酬
給料の一部を、現金ではなく自社の株で渡す仕組み。現金は出ていかないが、株数が増えるため株主にとっては実質的な費用。
転換社債
決められた条件で将来、株式に換えられる借入金。会社の株価が上がるほど、貸し手の権利の価値も上がる。
自社株買い
会社が自社の株式を市場から買い戻すこと。配当と並ぶ、株主への還元策の一つ。
TTM
直近12か月のこと。直近4四半期の決算の数字を合計して、最新の1年分の業績として使う。
GAAP
米国の会社が決算を作るときに従う会計のルール。これに従った数字を「GAAPベース」という。
のれん
会社を買収したとき、買収した値段が相手の会社の純資産を上回った分。ブランドや顧客基盤などの見えない価値の代金で、売ってもお金にはなりにくい。
減価償却費
工場や機械などの購入費用を、使う年数に分けて毎年の費用にしたもの。
永続的競争優位性
他社にまねされにくく、何十年も続く強み。バフェットは、城を守る堀(モート)にたとえる。
支払利息
借入金に対して払う利息。
希薄化
新しい株式が発行され、既存の株主の1株あたりの価値や持ち分が薄まること。
SEC
米証券取引委員会。上場企業の情報開示のルールを定め、監督する政府機関。
受注残高
注文は受けたが、まだ納品していない(売上になっていない)分の金額。将来の売上の目安になる。

米国株・投資の用語集(95語)をすべて見る →

出典

本コラムは、投資指標の意味と使い方を説明するためのもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数字の例は説明のためのもので、実在の会社の数字は記載の時点のものです。投資の判断は、最新の決算資料などを確認のうえ、ご自身で行ってください。